若き日本人の肖像 吉永マサユキ 写真集
サブカルを追う写真家 吉永マサユキの写真集。
記念写真の構図のみでこんなに面白いことができるなんて驚き。
暴走族、右翼団体、ボクシングジム、矢沢永吉ファン、ホストクラブの黒服、空手道場、地域の祭り、応援団。いかついお兄ちゃんお姉ちゃん達が数十人並んでいる。写真を撮られることを意識してか、一層気合いの入った衣装と表情で、こちらをにらみつけている。威嚇力抜群である。そしてキャバレーホステス、レースクイーン、ガールズクラブ、ストリップ劇場における、女子の淫靡な集合写真もある。この写真集では、男は男らしく、女は女らしくが徹底している。過剰に漂うセックスアピールにむせそう。
その男らしさ、女らしさが強い集団ほど、構成員が似通ったファッションや顔つきに収束していくのが一目瞭然になった。「族」というのは所「属」から生まれるのだなと思う。だが、制服指向の一方で各自がアクセサリー的な個性を発揮して主張もしている。つっぱり高校生が、学ランを同じように改造して髪を染めながらも、一人一人、つけるピアスがちょっと違う、みたいな。そういう細部の個性が味わい深い。
そのほか、ちんどん屋、ウクレレクラブ、大学生のサークル、子供会、花見などの集合が記録されている。最近話題の「ヤンキー文化論」のビジュアル資料というイメージ。
・ヤンキー文化論序説
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-951.html
・ヤンキー進化論 不良文化はなぜ強い
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/06/post-1019.html
日常じっと見てはいけないものを、写真だから、一方的にじっと見ることができる。路上観察をじっくり家で楽しめる写真集だ。
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