目立つ力
はじめて勝間和代さんの本を読んだ。とにかくわかりやすい言葉で話す。何にでも、とっかかりを示して、読者のモチベーションを高める。そして時代の寵児の勢いを存分に感じられるエネルギッシュな新書。
この本は主にブログを使った自己実現の指南書だ。パソコン通信時代からの20年に及ぶネットコミュニティでの努力が、2007年くらいからの彼女の人気大ブレイクに実を結んだ。その歴史が「勝間和代ができるまで」として自伝的に語られている。
なぜブログなのか?。
「どのように自分自身をスキルアップし、ほかの人の役立つようになっていくかという、自分の人生戦略を策定していく際に、ブログを日常的に作っていくこと以上に役立つことはありません。なぜなら、ブログはいわば市場での自由競争にさらされているわけですから、そこの中で自分というキャラクターを立て、ほかの人に認知され、かつ交流を持つためには、戦略が必要だからです。」
集客力のある情報とは「とてもディティールに踏み込んだマニアックな情報か、あるいは最先端の情報」として、
私も、いわゆるアルファブロガーという分類をされる一人なのだけれども、大人気の勝間氏の考え方に共感するところが多かった。しかし、この国では出る杭は打たれる面もある。目立つ力と同時に必要なのが「めげない力」だと思う。この人は常人の何倍も打たれ強いというか、負のエネルギーさえ取り込んで成長していくパワーを持つ人のように感じた。
「そして、実はこの「自己承認欲求を満たす」ことは、私たちが幸せに生きる際に欠かせないことなのです。ふだん、人に批判的な人と、そうでない人を比べたときに、私が強烈に感じるのは、自分が満たされている人は、人の批判をする気持ちもないし、また暇もないということです。」
とか、リアルでも陰口はあるが本人に聞こえにくいのに対して、インターネットでは「陰口が可視化できてしまった」だけだから気にするなという。こういう境地こそ、勝間氏の強さの秘密なのだと思う。アテンション・エコノミーという自由市場では、勝間氏のように勝てる人と、負けてしまう人が明確になる。負のオーラとどうつきあうか、目立つ人の重要な心得であると思う。それで潰れてしまう人もいるのだから。
いまブログ界隈で起きていることを把握できるWeb2.0 Now的な本でもあった。現在進行中か、少し前に起きたドキュメンタリ的な記述が多くてライブ感に満ちている。聖幸さん、たつをさん、Smoothさん、そして小飼弾さんら、書評系ブロガーがネット上で勝間和代ブームを作りだしていった過程だとか、つい先日のTwitterのヒウィッヒヒー事件などが当事者視点で振り返られている。2009年の今、旬の本だな。
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