魔羅節
なんだか凄いタイトルだが中身もまた淫靡。
最近続けて読んでいる岩井志麻子の短編集。
「それは百年ほど前の、岡山でのこと。腐臭たちこめる茅屋に、行き場のない者たちが吹き溜まり、夜昼なくまぐわい続ける、禍々しい世界。男と女はもちろん、人とけだものから、死者と生者まで、相手かまわぬ嬲り合いの果て、幻想が現実を侵食し、すべては地獄へなだれこむ―。血の巫女・岩井志麻子が、呪力を尽くして甦らせた、蕩けるほど淫靡で、痺れるほど恐ろしい、岡山土俗絵巻。 」
表題作の魔羅節は、日照りの飢饉の村に雨を降らせるために、男性自身を露出させて神に捧げる風習とそれにまつわる陰湿な人間関係の話なのだが、この原始的に思われる性器信仰っていうのは現代でも結構生きているわけである。結構な確率で、神社やほこらのご神体は男性女性のアレをかたどったものだったりするし、
各地のお祭りだって
・ひょっとこが巨大な男根で踊りまくる祭り
・男が女をつねり放題、たたき放題の祭り
・男根に女の子を乗せてゆっさゆさの祭り
・暗闇の中でお尻を触る祭り
・天狗とお多福がセックスショウをする祭り
・ひげを撫でながら酒を飲む祭り
などいろいろあるのである。詳しくはこの記事を参照。
・日本トンデモ祭―珍祭・奇祭きてれつガイド
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003898.html
で、こうした祭りを考えてみるに、原始は生殖力を聖なるものと考えていたのだろうけれど、おそらくは相当初期段階から、人々のストレス発散の場として利用されてきたのでもあったのだろう。動機が純粋でないから、なおさら淫猥なムードが醸し出される。
岩井志麻子作品は、性描写自体は結構あっさりと短かったりするのだが、そこに至る人間関係や状況の描写が強烈で卑猥である。そういう作品ばかりが読めるかなまら祭りみたいな短編集である。
・ぼっけえ、きょうてえ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/09/post-1066.html
・瞽女の啼く家
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/09/post-1061.html
・べっぴんじごく
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-843.html
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