プレイフル・シンキング
この夏に子供を連れて、ICCのキッズ・プログラムに行ってきた。(8月31日でイベントは終了している)。実際に子供と大人が一緒に遊びながら学ぶための作品が展示されていた。実験的メディアアートで遊ぶ感覚が楽しい内容。
・「ICCキッズ・プログラム 2009 プレイフル・ラーニング たのしむ ∩ まなぶ」
http://www.ntticc.or.jp/Archive/2009/Kidsprogram2009/index_j.html
↑子供は特にフォントで遊ぶ作品に熱中していた。
帰りにこのプログラムをデザインした上田信行氏の著書をミュージアムで買って読んだ。道具、活動、空間、人の組み合わせで創造性を引き出す方法論、空間論。あのイベントは著者の持論「まず「活動」があって、それを楽しむ「人」がいて、そこから生まれる「コミュニケーション」をとおして学ぶことができる場所」を体現していたようだ。
「プレイフルとは、物事に対してワクワクドキドキする心の状態のことをいう。どんな状況であっても、自分とその場にいる人やモノを最大限に活かして、新しい意味を創り出そうとする姿勢」
・真剣に向き合うこと
・柔軟であること
・協調のためのエンジン
・実現できそうな予感にワクワクすること
を大切にした方法論。チクセントミハイのフロー体験にも通じる。
創造的な学びについて著者はこう簡潔にまとめている。
「学びとは子どもが何かを体験し、その体験を振り返るプロセスを通してみずから構築していくものである。」
「知識とは、他者から与えられるものではなく、みずから創り上げていくもの、つまり「創造するもの」である」
インストラクションではなくコンストラクション・ラーニング(構成主義的学び)として教育をとらえている。だからこそ、ワクワク体験ができる環境が重要なのだ。
そしてとても面白いなと思ったのは、多くの場合、何をやるかより誰とやるかが重要だという話。あの人とだったらできそうだという他者含みの自信が、学習者を動かす強いモチベーションになるという。
自分の子供時代を思い出してみると、結局、何をどう学ぶかというよりは、どの先生に教わるか、誰と塾に行くか、なんていうことが学習意欲と結果につながっていたように思う。いや大人になった今だってそうかもしれない。誰とやるかで、仕事の楽しさもやりがいも大きく左右される。
ワクワクを一番簡単に創り出す方法は、一緒にやる人を選ぶ、選べる状態にするということなのかもしれない。
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