人を幸せにする話し方―仕事と人生を感動に変える言葉の魔法
良い本だなあ、読み終わって、拍手したくなった。
人前で話す機会の多い人は一読の価値あり。
年間200本の講演をこなす感動体験のコンサルタントが語る話し方の極意。
「たとえば、講演を聴き終わった人が、「今日の講演はすごかった。あんなすごい人がいるんだなあ」という感想を持ったとします。 この講演は、成功したと思いますか?それとも失敗したと思いますか?。 その講演の目的が「講師がすごい人であることを知らせること」なら別ですが、残念ながら、講演として成功したとは言えません。」
私もやってみたい、私にもできるかもしれない、元気になった、と自分が主語になる感想をもってもらえる講演こそ本当の成功なのだと著者は定義する。繰り返し呼んでもらえる講演というのもそういうものなのだろう。本書の人間的な共感指向の話し方は「ハーバード流」みたいなやり方とは対極にある。
冒頭に「悲しいことに、話し方のテクニックが世の中に広がれば広がるほど、人と人のつながり感が薄れてきているような気がします。」と書かれている。この本は聴衆の心理を操作する技術の本ではない。わかりやすく話の中身を伝えるためのやり方の本でもない。「人と心がつながるための話し方」の本である。
開示される5つの極意
1 最強のポジションを取る
2 空気を読まずに空気を創る
3 つなげてひっぱる
4 たった一人に一度だけ
5 喜びは最大の防御なり
を核にして、聴衆とドラマを生み出す共演者という関係性を築くような話術がまとめられている。「共感でつながり、違いで刺激する」という術を、成功したスピーチの実例も挙げながら、具体的にどう構成していくべきかの指導がある。
個人的には「話す内容を決めるときのコツは、まず最初に、最後の話(ラストシーン)をどのような終わり方にするのかを決めることです。」というのはとても参考になった。起承転結の起ではなく結からつくるべきなのだ。後を濁すことになるから、質疑応答など受け付けるなというのも潔い。講演後の名刺交換のときまで結構見られているから背筋を伸ばしておけ的なアドバイスも実践的だ。
講演や授業が生業の一部になっている人は、話術の最低限のテクニックは身につけているものだ。だが、聴衆と、どのような関係性をつくるべきかという点で、根本を誤っているケースは結構多いなと思う。タイトルの「人を幸せにする話し方」はいいタイトルだなとほれぼれ、惚れた。
ブライアン・トレーシーの 話し方入門 ー人生を劇的に変える言葉の魔力
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-838.html
・たった2分で人の心をつかむ話し方(CD付)
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・「感じがいい」と言われる人の話し方
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