つげ義春コレクション 紅い花/やなぎ屋主人 ねじ式/夜が掴む

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ちくま書房のつげ義春コレクション 全9巻から2冊読んだ。

・つげ義春コレクション ちくま書房
http://www.chikumashobo.co.jp/special/tsugeyoshiharu/

「この全集は全作品を収録したものではなく、初期の貸本時代の作の大半は除いてある。全作をまとめるのは量的に難しいだけでなく、稚拙で未熟な過去を晒すのは気がすすまぬからである。が、旧作は目にする機会が少いとのことで一部をここに収めたが、粗末な作であるのは生活苦による乱作のためばかりではなく、マンガ全般のレベルが低かった時代でもあり、その点を酌量して戴ければ幸いである。後期の作に関しては弁解するところはない」と著者が書いているが、個人的には初期の粗っぽい絵から作家の原点が見られる気がして、楽しめた。

・ねじ式/夜が掴む
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稚拙未熟と本人がいいそうな「外のふくらみ」(ねじ式/夜が掴む収録)がとても好きだ。開けた窓から外のふくらみが室内へ入り込もうとするというシュールなネタで、線も極めてシンプルに省略されており、「紅い花」系の旅モノとはまったく違う、しかし、どこか繋がっている、つげらしさがある。本人談話ではこれは失敗作らしいのだが。

逆に有名作「ねじ式」はやりたいことはわかるんだけれども、シンボリズムや抽象化などインテリ技法のにおいがぷんぷんしており、稚拙に感じられた。

・紅い花/やなぎ屋主人
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こちらは有名な旅行物中心の巻である。幻想的な「紅い花」はやはり大傑作。漫画のネタを探すという名目で日本各地の温泉宿を貧乏旅行し、出会った人々とのエピソードを描く。すべてを投げ出して地方の温泉宿を巡るというのは、都会での仕事や生活に縛られた現代人にとっては、少し羨ましい気もするあてどなさである。

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このページは、daiyaが2009年9月11日 23:59に書いたブログ記事です。

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