レッド 1969~1972
山本直樹の問題作。まだ連載中で単行本3巻までだが凄く面白い。理想主義者たちが、無慈悲な人殺しに変わる瞬間が見所だろう(3巻ではまだ予兆)。絶対全部読むつもり。
1969年から72年までの日本という設定で、連合赤軍や浅間山荘事件をモチーフにした過激な学生運動家たちの青春群像劇。若さ故に革命を信じ非合法活動に身を投じた彼らが、やがて行き詰まって仲間と殺し合い、壊滅していく様を描く。
一部の登場人物の頭や肩の上には不可解な数字が描き混まれている。1とか15とか。このナンバリングは一体なんなんだろなあと読み進めていくと、2巻の解説で答えが明かされている。これは警察との戦いや仲間のリンチで殺される順序なのである。ああ、こいつもうすぐ死んじゃうんだというのが生々しく判ってしまうわけだ。
そして各話の最後のコマでは登場人物達の未来がカウントダウンされる演出も物語の緊張感を高めている。
「赤城 この時26歳 群馬県山中で逮捕されるまであと253日 死刑確定まであと7926日」
「安達 この時23歳 群馬県山中で「処刑」されるまであと223日」
「宮浦 この時23歳 吾妻の子を妊娠したまま群馬県の山中で死亡するまであと240日」
といった具合。一見、平穏なアジト生活に見えても、全員が逮捕や処刑というカタストロフへ向かっていることを常に意識させられる。これがなくても十分に傑作だと思うが、死人ナンバリングと運命カウントダウンは画期的な演出であると思う。
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