ふしあな

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「女とは 残酷でわがままでうそつきで... でも切ないくらい可愛いもの。」

そうか、こういう手があったか!。

全編が浮世絵タッチで描かれた時代劇漫画。江戸時代の恋物語が6編。

浮世絵にしてみましたという実験に終わらず、男女の情愛を描いたストーリーも味わい深くて、名作である。そもそも浮世絵は現代の漫画にあたる位置づけでもあったようだから、それを使って役者や遊女の風俗を描いた本作は、超正統派の和風漫画といえるのかもしれない。

現代のメジャーな漫画と大きく違うのは登場人物の顔と目が小さいことだろう。表情や瞳を描きこむことができない。だから微妙な感情表現を人物の姿勢やジェスチャーで表すことになる。そこで典型的な浮世絵の構図が使われるわけだ。慣れると案外、いいのだこれが。

次は全編カラーで出版して欲しいなあ。

この作品、浮世絵ということで男女のからみシーンは多いのだが、完全露出の春画は出てこないので、そういうのを期待してはダメである。山本周五郎の時代小説などが好きな人に特におすすめだ。ほろっとさせたり、ぐぐっときたりさせられる人情物語集である。

・本文化の模倣と創造―オリジナリティとは何か
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-756.html

・日本という方法―おもかげ・うつろいの文化
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/01/post-508.html

・模倣される日本―映画、アニメから料理、ファッションまで
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003155.html

・共視論―母子像の心理学
http://www.ringolab.com/note/daiya/2005/10/post-295.html
浮世絵構図の研究

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このページは、daiyaが2009年7月 9日 23:59に書いたブログ記事です。

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