勝てる読書 (14歳の世渡り術)
「文学賞メッタ斬り」で有名な書評王 豊崎由美氏が書いた14歳のためのブックガイド。
・書評王の島
http://d.hatena.ne.jp/bookreviewking/
豊崎由美氏のブログ
「子供の頃からベッドで寝っ転がって読んできた本。特に系統立った読み方なんかしてこなかった自分の読書体験。なのに、不思議とつながっていった。つながって、わたしなりの本の星座ができていった。その一端を紹介することで、14歳で不安だらけでコンプレックスだらけだった自分に「つながったよ」と報告してやりたかったのです。で、他人のカバンの中をこそこそとチェックするような大人の浅はかな思考や御都合主義の言葉に"勝てる"思考と言葉は、今、あなたが読んでいる本の中にちゃんとあるよ。そんなこともアドバイスしてやりたかったのです。」
豊崎氏はインディペンデントへの意志を強く感じさせる書き手だ。14歳の時、落書きの教科書を捨て、校舎の窓ガラスを壊して回り、盗んだバイクで夜のとばりを走り続けて、そのまま大人になってきたような人だ。権威におもねらない。群れない。曲げない。大家の作品でも面白くないと思えば叩き斬る。自身が価値があると思う作家を世に出すために、日々、文壇の馴れ合いや出版界の商業主義と戦っている。
だからこの本の「勝てる読書」とは、打倒セコい大人のための武装術であり、飼い慣らされないための人生術なのだ。各章はテーマ別に星座の名前になっている。14歳が生きる指標となる星座早見図を与えようという意趣だが、その名称が、キモメン座、ケンカ上等!座、江頭2:50座、呪怨座、ケモノバカ一代座、中2病座...。トヨザキ社長(一人称"オデ")のインディペンデントな生き方は圧倒的に個性的だ。だからこそ面白い本を発掘できるのだ。
結局、私もこのガイド本で知った本を10冊近く購入してしまった。
普段の豊崎さんが雑誌に発表する書評記事は、ある程度本を読んでいる人向けのハイコンテクストなものが多いが、この本は、これから読む人向けなのでやさしく書かれている。難しい漢字にはルビもふられている。だが、語られている蘊蓄や紹介本は完全に大人向けである。本当に14歳が読むとしたらかなりの挑戦読書になるだろう。
心のどこかがまだ14歳のままの、すべての大人におすすめ。
・正直書評。 - 情報考学 Passion For The Future
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/post-872.html
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 勝てる読書 (14歳の世渡り術)
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/2467