ウーマンウォッチング
女体の文化論、科学論。
何が男心を誘うのか。生物学的、歴史学的な視点から、頭髪、額、耳、目、鼻、頬、唇、口、首、肩、腕、手、乳房、ウエスト、腰、腹部、背中、恥毛、性器、尻、脚、足が個別に論じられる。
男女の身体差は他の霊長類に比べるとかなり大きい。
「新たな分業が進んだことにより、男性は、狩猟のために、いっそう筋骨たくましく、活発で丈夫な身体が必要とされた。平均すると男性の身体には28キログラムの筋肉があるのに、女性には15キログラムしかない。典型的な男性の身体は、女性より30%強く、10%重く、7%高い。 女性の身体は繁殖のためにきわめて重要なので、男性以上にうまく飢餓から身を守らなければならなかった。その結果、肉づきがよく曲線的な平均的女性の身体には25%も脂肪があるのに、筋骨たくましい男性には12.5%しかない。」
脂肪に包まれた丸みのある身体と高い声。女性の赤ん坊のような身体は、男性の子どもを保護しようとする反応を引き出す。男心をそそるほど強い配偶者をみつけて生殖し子孫を残すことができた。その結果として女性は一層女性らしい身体に進化していったのだという。
女性の豊かな胸は"模擬臀部"として進化したという説が面白い。他の霊長類の雌は臀部から後方へ視覚的な性信号を送る。雄は雌の尻や性器を見て興奮するのだ。だが二足歩行になり正面から相対することの多いヒトの場合は、胸を膨らませることで男性を惹きつけるようになったという話。
・現代女性は口紅で濡れた隠唇を模倣している。
・数世紀前の娼婦はベラドンナの目薬で瞳孔を開いて男性を見つめて誘った。
・長い爪は手使う労働をしなくてよい高貴な女性のしるし。
・中国では女性の足は小さければ小さいほど「膣の襞も素晴らしくなる」という迷信を信じて纏足を1000年間も続けた。
・欧米人は脇の下のにおいで興奮する男女が多い。日本人はまれ。
など、女性の魅力に関するデータが満載。
この本でわかるのは
1 なぜ男性は女性の各パーツの特徴に興奮し惹かれるのか
2 時代や地域によって魅力的な女性の身体特徴が異なること
の2つ。1つめはかなりユニバーサルなもので、2つめは個別性が高い。
セックスアピールの科学。性的興奮の中身が冷静に分析されて文節化、言語化されていくのが面白い。男性が魅惑される女体というのは、結構、単純な要素に還元できてしまうのかもしれないという感想。
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