必見の騎馬オペラ ジンガロ 「バトゥータ」公演
・騎馬オペラ ジンガロ 「バトゥータ」公演
http://www.zingaro.jp/
公式サイト。まずはここをみてください。
紹介の都合上、DVDの画像にリンクしたが、ぜひ本物を見て欲しい。
東京木場で3月26日まで公演中の騎馬オペラ「ジンガロ」を観てきた。前評判の異様な高さに期待していたが、演劇の新たな可能性を切り拓くような、斬新なスペクタクルに圧倒された。この手のショーが好きな人は残り公演を絶対に観るべきだ。生きながら本物の「走馬燈」が見られる貴重な機会である。
ちなみに騎馬オペラ「バトゥータ」は曲芸サーカスではない。シルク・ドゥ・ソレイユでもない。無論古典オペラともまったく違う。人馬一体の幻想芸術である。高等馬術を習得した役者達が、美しい馬たちとともに走り、舞い、遊牧民の世界観を光と闇の中に創り出す。
ジンガロとはパリ郊外に拠点をおき、1984年以来、絶賛を浴びている劇団である。この劇団は人間と馬で構成される。人間よりも馬の方が数が多い。ジンガロとはかつて劇団の象徴でもあった名馬の名前である。そして出生や年齢不明の主宰者バルタバスは生きた伝説である。
今回の海外公演「バトゥータ」では、ルーマニアの二つの楽団(管楽器と弦楽器)の生演奏が流れる小さな円形劇場が舞台となる。
セリフやナレーションは一切ない。ストーリーもない。だが内容は誰にでも分かる。夜明けから夜のとばりが降りるまでの間に、ゆりかごから墓場まで人間の一生のすべてを描いている。まさに90分間の走馬燈なのである。
荒くれ者の男達、純白のドレスを着た花嫁、がなり立てる老人、ひょうきんなクマ、主宰者バルバタスなど人間のパフォーマーと数十頭の馬がギャロップで駆け回る。1時間半の公演中に馬たちはここを何百周しているのだろうか、照明や水の演出が馬たちを幻想的にショウアップする。闇の中に佇む白馬の群れ、恋人に馬上で抱かれる花嫁、幕間を告げる女性騎手......美しさに何度も絶句した。
何十頭もの馬が走り回る劇場はかすかに馬のにおいがする。この野性のにおいとリズミカルな脚音が、観客の心拍数を引き上げる。舞台中央で天上からまっすぐ下へ流れ続ける水の音、そして動と静二つの楽団の奏でる音楽。五感に入ってくる刺激が相乗して昂ぶらずには居られない。まるで幻覚を見ているかのような夢見心地の世界に引き入れられる。
余韻が忘れられない人は会場で販売されているパンフレットがおすすめ。美麗なパフォーマンスの写真や背景知識がたっぷり収録されている。
・騎馬オペラ ジンガロ 「バトゥータ」公演
http://www.zingaro.jp/
公式サイト。まずはここをみてください。
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