猿はマンキお金はマニ―日本人のための英語発音ルール
来日35年の外国人タレント ピーター・バラカンが書いた日本人のための英語発音ルールの本。Moneyはマニ、Monkeyはマンキ、McDonaldはムクドヌルドと発音しないと英米人に通用しませんよという。カタカナ語に対応する正しい発音方法を、発音記号とカタカナで教えてくれる。
・NHK出版|猿はマンキ お金はマニ 日本人のための英語発音ルール
http://www.nhk-book.co.jp/gogaku/monkey/
私たち日本人は英単語をカタカナにすることで柔軟に母語に取り込んでいる。だがカタカナ発音=英語発音というわけではない。著者は日本に来る前、ロンドン大学の日本語学科に通っていた。カタカナを学ぶ時間に「Oxford」をカタカナで書けという問題がでたそうだ。
「ぼくは躊躇せずにカタカナで「オクスフッド」と書きましたが、返ってきた解答用紙には×がついていました。なぜ不正解なのか、まったく理解できなかったので先生に尋ねると、正解は「オックスフォード」だと言うのです。」
英語では-fordで終わる地名や人名はすべてフッドと発音するものなのに、日本語のカタカナ表記はおかしいという。さらにStanfordはスタンフッド、Cambridgeはケインブリッジュ、Berkeleyはブークリが正しいという。カタカナ発音のおかしさを半分日本人のような著者が日本人の心情も理解した上で指摘していく。発音のそこがよくわからなかったんだよという例が続出だった。
英語では後ろから二つめの音節を強調することが多い
-ageで終わる単語の多くの発音は〔-ij〕
最後のgはほとんど発音しないでよい
最後に来るoはオでなくオウ
などの一般法則も多数紹介される。
実は著者はこの本を執筆する際にカタカナで発音を表記するのはやめようと考えていたそうだ。日本語と英語では発音体系が異なるので、安易に英語の発音とカタカナを対応させるのはよくない。だが発音記号だけではどうにもわかりにくいので、本文では敢えてカタカナ(アクセントを太字)との併用で書くことにしたそうである。本来は深くて正しい理解を推奨している。
本を読んでいて、とにかく気になったのは自分が実際に使う機会のあるIT業界用語である。この本に収録された数百の単語から私がよく使うものを抜き書きしてみた。
シリコンバレーは シリクン・ヴァリ
イメージは イミジュ
メッセージは メシジュ、
コミュニケーションは クミューニケイシュン
メディアは ミーディア
デジタルは ディジトゥ
ソリューションは スルーシュン
エキスポは エクスポウ
イグジットは エクシト
コンテンツは コンテント(単数)
そうそうこういうリストが欲しかったのだ。英語と同じと思って安心して使ったカタカナ語がネイティブには逆に通じにくかったりするものだ。上の対応表記を見てネイティブの発音を思い出すと、自分でも本物の英語っぽい発音ができる気がする。付け焼き刃的だが、発音を手っ取り早くよくする一夜漬け本として、効果のある本だと思う。出張前に効く。
とはいえ、日本人同士の会話で本物っぽい発音は気をつけないといけない。特に仕事ができない新卒社員が「ディジトゥ・ミーディアのメシジュクミューニケイシュンが...」なんてやっていたら、先輩から軽く張り倒されるかもしれないわけであるから気をつけてほしいものである。
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