この世でいちばん大事な「カネ」の話
なんだか感動しちゃったなあ。
西原理恵子の毎日かあさんは隠れファンで全巻読んでいる。
基本はお気楽のほほん路線だが「毎日かあさん4 出戻り編」の、元夫との別れのあまりの切なさには涙した。ちょっと昔のフツーの日本の家族模様を描かせたら右に出るモノがいないのじゃないか。おなじほのぼの系でも、すべてが満ち足りたサザエさんではなく、何か欠けている毎日かあさん一家の方がリアリティを感じる。
本書は漫画家 西原理恵子の自伝である。貧乏に泣かされ、大人の無理解で高校中退させられた少女時代。どん底の暮らしから漫画家になって這い上がるも、ギャンブルにはまった話。若い頃の稼ぎや借金の話などカネにまつわる話ばかりで構成している。
西原が「自分で「カネ」を稼ぐということは、自由を手に入れるということだった。」というように、カネに縛られないためにはカネを稼ぐしかないのである。そういう他の人が言わない真理をガツンガツンと繰り出してくる。自分探しもカネで答えはでる。
「自分は何に向いているのか。
自分はいったい、何がしたいのか。
深い迷いで身動きできなくなっているキミを、
「カネ」が外の世界へと案内してくれる。」
職業選択においては、何がしたいかというより、カネを稼げるコトに適性や能力があるのだから、そういうコトをみつけなさいという論法。なるほど感銘。著者自身が貧乏から独力で成り上がる過程で身につけた金銭教育の本なのでもある。
「カネについて口にするのははしたない」という教えも、ある意味、「金銭教育」だと思う。でも、子どもが小さいときからそういった「教え」を刷り込むことで、得をする誰かがいるんだろうか?いる、とわたしは思う。従業員が、従順で、欲の張らない人たちばっかりだと、会社の経営者は喜ぶよね。」
サブプライム崩壊であっさり破綻した「金持ち父さん」式とはまったく逆を行く毎日かあさんのしたたかな金銭道。この本は自分の息子が中学あたりで"中二病"にかかったら読ませたい本である。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: この世でいちばん大事な「カネ」の話
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/2375