インドへ馬鹿がやって来た

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・インドへ馬鹿がやって来た
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56歳、仕事がなくて困った漫画家が、突如思い立ってインドで漫画を売ることを思い立つ。友人の漫画家の作品を翻訳して、現地で印刷して販売すれば儲かるのじゃないかというアイデアだ。海外に出たことは一度もなく、英語もヒンディー語も全然できないのに、現地で部屋を借り、人を雇い、印刷所と契約し、自分で露天を出して、漫画を叩き売る。

売ることに決めた作品は、表現の問題で40年以上も封印されていたという平田 弘史 のカルト作品「血だるま剣法」。日本でだって売るのが大変なクセのある作品を選んでしまったところから、無理な話であった。

・血だるま剣法・おのれらに告ぐ
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「遂に復刊成る! 1962年夏、大阪日の丸文庫から貸本店向け描き下しマンガ単行本として発行された「血だるま剣法」は、なぜ40年以上に渡り封印され続けたのか? マンガ史のみならず戦後の出版史を考えるうえで避けることのできない本作の意味を再検証。リメイク版「おのれらに告ぐ」併録。監修及び解説:呉智英。 」

著者は売れる物を作るマーケティング能力がゼロなのだが、起業家に必要なゼロからどうにかするバイタリティだけは強烈に持っていた。だから、ビジネス的には大失敗なのだけれど、過程を描いたこの漫画はとても面白いドキュメンタリになった。

怪しいインド人にしょっちゅうだまされる日々だが、全体として殺伐とした雰囲気にならないのは、どこか根底で人間を信じている著者の人柄のせいなのだろう。普通の日本人が入り込まないスラム街へも果敢にアルバイト探しに出かけていく。周囲のインド人達も謎の日本人の行動に戸惑いながら、いつのまにか著者の行動につきあわされている感じがある。

相当に低レベルとはいえ、インドと対等に渡り合ってきた日本人の敗戦記。負けたけれどもとことん健闘した内容は読みどころたっぷり。

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このページは、daiyaが2009年1月20日 23:59に書いたブログ記事です。

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