小笠原流礼法で強くなる日本人の身体
800年続く武家作法、小笠原流礼法宗家が書いた日本人のための身体づかい論。
正しい障子や襖の開け方ってご存じだろうか。
「引き手に両手を添えて開けることが正しいマナーだと思っていませんか。ところが体の働きや物の機能を考えれば、両手で開けることは理にかなっていないことだとわかります。 引き戸である襖を左から右へ開ける際に、両手で開けようとすると、引き始めでは右手の上腕部の筋力を使い、体の中央を過ぎると、逆に左手の上腕部の筋力を使うことになります。 すると襖には斜めに曲がった力が加わり、しだいに襖はゆがんでしまいます。 まずは左手で襖を開け、体の正面で手を替えて、右手で開くというのが、腕の筋肉に沿った無駄のない動きであり、物を大切にする所作でもあるわけです。 これが古来の作法と形式的なマナーやエチケットとの違いです。」
というように、特に日本家屋や日本的な生活様式において、無駄がない動き方、自然に見える動き方を教えている。立つ、歩く、座るの基本から、お辞儀、礼、訪問・来客応対、名刺交換、着席、和食会食、酒席、冠婚葬祭などの細かな作法を教えている。
ひとつの流儀として一貫した作法だから、いくつかの基本原則を覚えると理解しやすくなる。たとえば息を合わせることがこの流儀の極意の一つだそうだ。
「なめらかで、かつ美しい動作をする秘密は、動作に呼吸を合わせるのではなく、呼吸に動作を合わせることです。」動作をするときに吸う。止まっているときに吐く。すると、一定のリズムで自然な動きとなり、見た目にも美しく映えることになります。呼吸に合った動作は疲れにくく、効率の良い動きでもあります。」
たとえば、礼をするときは「吸う息で上体を傾け、吐く息の間そのままとどまり、さらに吸う息で上体を起こすのです(礼三息)」というふうにやる。自然な呼吸のリズムで行うので、いつ頭を上げたらよいかに迷うこともない。相手の呼吸に合わせれば「息が合う」。
細かな作法に縛られたくはないが、逆に正式が何かを知らないと、堂々と自分流に振る舞うこともできないものだ。まずは日本のマナーの基本を知るのにこの本はとても勉強になる。
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