機密指定解除 歴史を変えた極秘文書
「文書や記録そのものは、もちろん紙の上の単なる言葉のら列だ。しかしそれは、革命や戦争、暗殺など、歴史の流れを変えた重大な事件で、大きな役割を演じた人物や政策、さらにその背景に潜む陰謀などを知る格好の「のぞき窓」となっている。」
古くは15世紀から現代まで、事件から長い時間を経て一般に開示された機密文書50本を写真で見せながら解説するドキュメンタリ。スパイの書いたメモや報告書、国家レベルの密約、盗聴記録など。米国を原爆開発へと進めたアインシュタインの手紙、ナチスがつくった各国ユダヤ人の人数推計、大統領がつかまされた偽文書などもある。
第二次世界大戦中と冷戦時代の米ソの諜報合戦は特にすさまじい。二重スパイや偽文書、など手の込んだものが多い。敵の暗号通信を解読できても当面は敢えてアクションを起こさない。相手が安心して通信している様子を傍受し続けたいからだ。だまされているフリをしてだます。裏切り者を裏切らせる。
諜報機関はスパイや協力者をつくるため裏切らせる秘訣を研究していることがよくわかる。裏切りの動機は4つというのは興味深い。この4つの弱みをつけば敵の幹部をも寝返らせることができるというもの。
M Money お金
I Ideology イデオロギー
C Coercion 抑圧
E Ego エゴ
歴史上の二重スパイたちはだいたいこのどれかで転んでいること事例解説からわかる。
本書は監修者で元外務省のラスプーチンこと佐藤優が、早稲田大学大学院でインテリジェンスを教える事例研究のテキストに使ったらしい。本物である。
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