異常快楽殺人
親友とメールをしていると、本の話になり「平山夢明の「異常快楽殺人」というドキュメンタリーは、ありとあらゆるホラーを凌駕する名作です。彼女はあまりのこわさに本当に泣き出してしまいました。それ以来その作家の名前を口にすると本気になって怒ります。そのぐらいこわいです。」という。
いや、でもさ、そりゃいくらなんでも大げさだろうよ、悲しい内容で泣くことはあっても、大人が怖くて泣くなんてあるかね、文章だろ?というのが素直な私の感想だった。
「昼はピエロに扮装して子供たちを喜ばせながら、夜は少年を次々に襲う青年実業家。殺した中年女性の人体を弄び、厳しかった母への愛憎を募らせる男。抑えがたい欲望のままに360人を殺し、現在厳戒棟の中で神に祈り続ける死刑囚...。無意識の深淵を覗き込み、果てることない欲望を膨らませ、永遠に満たされぬままその闇に飲み込まれてしまった男たち。実在の大量殺人者七人の究極の欲望を暴き、その姿を通して人間の精神に刻み込まれた禁断の領域を探った、衝撃のノンフィクション。」アマゾンの説明より。
読んでみた。
結論。ああ、これじゃあ確かに泣くかも。
あとがきにこの作品に関わった編集者達が情緒不安定になったり体調を崩したりしたと書かれている。これは十分にありえる話だ。著者曰く「もしも、ごく短期間に、この物語のなかに突入し無事に帰還、現在に至るも何の変調もきたさないとするなら、あなたの精神は自覚しているいないにかかわらず、相当のものであるといえる。」とあとがきで読者に警告している。
もともと平山夢明はホラーの名手であり、特に人を切り刻んだりする凄惨な修羅場をリアルに描くことを得意とする作家だ。これは、こんな筆力を持った作家が書いてはいけないテーマだっ。事件の再現描写に臨場感がありすぎて怖すぎるのだ。衝撃のノンフィクションという、うたい文句に偽りはない。
一人で何百人も殺した大量殺人鬼たちの人物像と事件の克明な描写が7本。背筋凍る。
映像より怖い文章を読んでみたい人向け。
・独白するユニバーサル横メルカトル
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004775.html
「日本推理作家協会賞を受賞した表題作含めて、最初から最後まで、人肉を喰らったり、切り刻んだり、拷問したり、洗脳したり、虐殺したりされたりの短編が8本。死体や血しぶきが飛ばない作品は収録されていないので、グロテスク、スプラッター大嫌いの人は手にとってはいけない。人間のあらゆる狂気の濃縮ジュースみたいな内容である。」
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