白鳥の湖 華麗なるバレエ 1 (小学館DVD BOOK)
クラシック・バレエの代表作の舞台を収録したDVDとカラー図版たっぷりの解説。シリーズ第一巻はバレエの代名詞「白鳥の湖」。ロシアのキーロフ・バレエの公演。チャイコフスキーの名曲でよく知られているが、そのストーリーというものは初めて知った。
悪魔ロートバルトの呪いで白鳥に変えられたオデット姫は夜の間だけ人間の姿に戻ることができる。彼女を元の姿に戻すには、誰も愛したことがない男の真実の愛の誓いが必要だった。
ある日、白鳥たちがすむ湖にやってきたジークフリート王子は人間の姿のオデット姫に一目惚れする。白鳥の湖のテーマとして広く知られるメロディや、4人が横一列に手をつないで踊る小さな白鳥の踊りの印象的なシーンは、この部分にある。
しかし、翌日、悪魔はオデット姫そっくりの娘オディールを宮廷の舞踏会に使わして、王子の心を惑わす。オディールを湖で会ったオデット姫と思いこんだ王子は策略にはまって、悪魔の娘にうっかり愛を誓ってしまう。その様子を窓から見ていたオデット姫は絶望にうちひしがれて湖へもどっていく。
間違いに気づいた王子は湖へ行き姫と抱き合う。悪魔がやってきてオデットを翻弄するが、王子は悪魔に戦いを挑み、激しい攻防の末に、ついに打ち負かす、というのがこの舞台のストーリー。
え?じゃあ呪いの話や誓いの意味はどうなってしまうの?最初から悪魔をやっつければよかったのでは?と疑問も残るわけだが...。
解説を読むと、この白鳥の湖は本来は悲劇で、二人は入水自殺して天国で結ばれるというストーリーだった。ロシアでは社会主義リアリズムの観点から男女が協力して悪を打ち負かす筋に変えられたという。いまも悲劇版とハッピーエンディング版の2種類が演じられているそうだ。
世界の一流バレエ団のひとつということもあって、姿勢を完璧に制御したバレリーナたちの動きが凄い。プリマバレリーナはその場で30回転以上しても乱れない。一糸乱れぬ群舞のシンクロぶりにも驚かされる。
解説のQ&Aでなぜバレリーナはトゥ・シューズを履くのか?という質問に対して、
「爪先で立つことは、地に足のつかない状態、浮遊感やはかなさの表現へとつながり、当時流行したロマン主義的物語に登場する妖精や精霊など、この世のものではない幻想的な存在を表現するのにふさわしいものだったからです。」
とあるが、まさに白鳥の湖は、薄暗いシーンが多く、白鳥の動きがモチーフであるがゆえに、幻想的で浮遊感たっぷりの作品。
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