極道めし
刑務所で年に一度の最高の贅沢"おせち料理"を賭けて、懲役の男達がうまいもの話バトルを繰り広げる。くじで決めた順番でそれぞれが人生で一番うまかった食べ物の話を話す。同室の懲役仲間の喉をゴクリと鳴らすことができたらポイント獲得。さあ何人の喉を鳴らすことができるか。
これほどまでに、ものがうまそうな漫画って読んだことがなかった。読みながら思わず喉を鳴らしてしまうのは私だけではないはず。美食道楽指向の「美味しんぼ」などと違って、この漫画にはカツ丼や焼きそば、立ち食いそば、のような庶民的な食べ物ばかり出てくる。日常の食の方が、高級な非日常の料理よりもシズル感が強いのだ。(少なくとも庶民の私には。)
塀の中という設定も垂涎度に拍車をかけている。刑務所は入ったことがないけれど、健康診断の日とか、合宿研修の日とか、仕事中の深夜とか、自由行動が制約されている状況って、異常にお腹が減る気がする。普段は滅多に食べないのに、深夜にカップ焼きそばが食べたくなって困ったりする。もう遅いからやめておこうと自制するが、制すれば制するほどに食べたい衝動は強まっていく。そういう空腹時の切迫感が、各話に登場するのだ。
当然のことながら男達の話は懲役囚になるまでの転落人生の紆余曲折と絡めて語られる。不遇の時に食べたうまいものの味は引き立つ。人情とあわさって「一杯のかけそば」みたいなノリのときもある。ホロリとさせつつゴクリとさせるのがこの漫画の基本路線だ。
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