日本のお金持ち妻研究
日本人のお金持ちの奥さん達はどんな人たちなのかを真面目に研究した本。「日本のお金持ち研究」の番外編。大量のアンケートと統計分析から隠れた実態を探る。家庭における消費の主役である主婦、しかも富裕層の妻のプロフィール、考え方、行動パターンというのは、ビジネスマンとして気になるところだ。
庶民が想像するお金持ち夫人の典型イメージがある。専業主婦で豪邸でお手伝いさんを雇い、ブランド好き、教育熱心、優雅だがお高くとまっている、など。だが実像はかなり違った姿であることが判明していく。
まず彼女たちがお金持ちの妻になったきっかけである結婚を徹底分析する。俗説から次のような3つの仮説も立てて検証していく。
・玉の輿仮説:彼女たちは容姿端麗でお金持ちに見初められたのか?
・同類リッチ婚仮説:お金持ちの家に生まれてお金持ちと結婚したのか?
・糟糠の妻仮説:貧乏だった夫を支えて成功させたのか?
一般人との違いで目立つのが妻たちの学歴の著しい高さだった(夫たちも当然、高学歴が多い)。妻から見て学歴は同じか、より上の男性と結婚する「上方婚」が多い。世代間の富の連鎖は存在していた。夫も妻も両者がハイクラスの環境の家に育っている場合が多い。貧しい家から美貌で見初められてお金持ちの家へ嫁ぐという玉の輿の典型パターンは実際には少ないようだ。
中流家庭に生まれ勤勉堅実な生活と高い知性をみにつけた女性が、キャリアウーマンを経て富裕層の妻へ転身していく。妻の潜在的な能力の高さがその後の家の経営を成功に導くということらしい。富裕層の家計を見ると月々の生活費は平均200万円。うち消費するお金が110万円、貯蓄や生命保険70万円、ローン返済20万円となる。比率を見ると貯蓄や投資が多い。「消えてなくなってしまうような使い方ではなく、さらに増えてしまうような使い方をしているのである。」。
多くの妻がファミリービジネスの会社の経営者に就任している。専業有閑マダムというわけではないことが多い。これは節税就労の側面もあるが、妻が高いファイナンシャルリテラシーを身につけているということでもある。子供に倹約精神を教えたいという家庭が多い。でも儲かる投資、節税行動も忘れない。
わかりやすい事例が紹介されていた。見栄っ張りではないのでブランドものを買い集めたりはしない。だが衝動買いしたものを尋ねたところ「「割安だったので(ある有名な土地の)別荘を、つい買っちゃいました。」と答えた。この別荘に支払った代金は、後々別荘を売却した時に、ほとんど同額が回収されるか、さらに増えて戻ってくる」だろうという話だ。
統計にでてきた富の世代間連鎖はお金持ち優遇の諸制度も一因であろうが、お金を増やす知識を持つ妻を迎えることで、一族のファイナンシャルリテラシーが代々引き上げられていくことにもあるのだろう。
・美貌を磨くよりも知性を磨いた方がお金持ちの妻になりやすい。
・多くの富裕層が収入より遙かに低い支出で生活している。
・投資と節税にポイントを置いた経済活動の具体例
などの興味深い事実を知ることが出来た。
ちなみに逆玉ってどうなんでしょうね?次はそのテーマで書いて欲しいなあ(笑)。
・新世代富裕層の「研究」―ネオ・リッチ攻略への戦略
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/11/post-491.html
・日本のお金持ち研究
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003412.html
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