拍手のルール 秘伝クラシック鑑賞術
のだめカンタービレの音楽監修で知られる指揮者兼オーボエ奏者の茂木大輔氏が語るクラシック音楽鑑賞術。最初から最後まで庶民的でわかりやすい解説がクラシック音楽体験のハードルをぐっと下げてくれる。
「Sというのはむしろ「あまりに早く売り切れてしまわないため」に設けてある、「値段が特に高い席」であって、見え方聴こえ方が特別に優れているという根拠ではないことが多い。」
と言ったり、素人にはわかりにくい「演奏のよしあし」についてプロとしてこんな正直な説明をしている。
「演奏が、本当によかったか?」については、特別な場合を除いては楽団員全員に共通の印象などはなく、感想は個人バラバラで、つまり、我々自身が解っていない。<中略>ま、試しに勇気をもってデカイ音で拍手してごらんなさい。「あ!いまの良かったのか......」という具合で、周りの人もつられて、あっというまに拍手が倍くらいの音量になる。アンタも一気に尊敬の目で見られて「通」になっから。そんなもんだ。」
とはいえ、クラシックにはマナーや慣例があって、うかつに拍手をしてはいけないときもある。拍手が好ましいタイミングや、楽曲がまだ終了していないのに終わったように聞こえる「フライング拍手要注意曲目リスト」などが紹介されている。
ちなみに題名にある拍手のルールだが、拍手には音量、音程、密度の3要素と3法則があるのだそうだ。クラシックコンサートに限らず汎用的に拍手に通じそうな納得の分析のように思った。この基準は機械で拍手の成分分析するのに使えるかもしれない。
法則1:拍手の音量は拍手者の対外的表現意欲に比例する (社会的)大←→小(個人的)
法則2:拍手の音程は拍手者の感動の表面性に比例する (表面的)高い←→低い(内面的)
法則3:拍手の密度は拍手者の興奮度に比例する
それから私にとっての最大の収穫は「指揮者は何をしているのか」という、子供の頃からの素朴な疑問に丁寧な答えがあったこと。指揮者がオケを演奏するのがコンサートだという意味がよくわかった。
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