大人な絵本 「天才の家系図」「裁判所にて」
大人なビジュアルブックを2冊紹介。
宇宙人?新種のアメーバ?ジュヌビエーブ・ゴクレールの描く、へんてこな生物たちの男女が出会い、恋に落ち、セックスし、子供を産み、そして死んでいく。何十世代にわたるへんてこな生物の系譜が起承転結なく延々と続く。そこには天才もいれば怠け者もいる。有名人も殺人犯もいる。一人として同じ人生はない。
何の脈絡もなく多様な人生模様の連続を見続けるうちに、結局、生きるっていうのは、最初に生と最後に死があってその間に愛がある。ただそれだけなんだなと気づかされる。ユニバーサルなメッセージとして響いてくる。へんてこな生物が自分自身のように思えてくる。
・Genevieve Gauckler
http://www.g2works.com/
ジュヌビエーブ・ゴクレールのサイト。
裁判所は人生の悲喜こもごもが集まる結節点である。罪を暴かれてうなだれる顔、怒りを投げかける顔、人生を諦める顔、恥ずかしさに顔を赤らめる顔、物思いにふける顔、計算をする顔。日常にはない強烈に感情的な顔が裁判所にはある。ベルギーの絵本作家ガブリエル・バンサンはブリュッセル裁判所に20年以上も通って繰り返しスケッチした。
被告や証人、検察や弁護士、裁判官のラフスケッチ集だ。絵には説明文が一切ない。しかし、どの絵からも背景にある深刻な物語の雰囲気が伝わってくる。高い窓から光が入る裁判所であるため人々の顔の陰影が深く絵の印象を強めている。
たまたま古本屋で入手したバンサンの「砂漠」もよかった。こちらも光と陰が美しい。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 大人な絵本 「天才の家系図」「裁判所にて」
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/2217