朗読者
「15歳のぼくは、母親といってもおかしくないほど年上の女性と恋に落ちた。「なにか朗読してよ、坊や!」―ハンナは、なぜかいつも本を朗読して聞かせて欲しいと求める。人知れず逢瀬を重ねる二人。だが、ハンナは突然失踪してしまう。彼女の隠していた秘密とは何か。二人の愛に、終わったはずの戦争が影を落していた。現代ドイツ文学の旗手による、世界中を感動させた大ベストセラー。 」
アメリカでは200万部以上が売れて、映画化が決定している。「タイタニック」のケイト・ウィンスレットがハンナを演じるそうで相当の大作になりそうだ。現在撮影中で2010年に公開予定。今頃読んでおくと、映画の頃には程よく忘却していてちょうどよいかもしれない?。
舞台は第二次世界大戦末期のドイツ。15歳の少年が一回り年上の大人の女性ハンナと恋に落ちる。愛の行為の合間に少年は求められるままに物語を朗読して女に聞かせた。しかし突然女は少年の手の届かない場所へ行ってしまう。戦後、大人になった少年は司法修習生となった。研修で訪れた裁判所で、ナチスの協力者として裁かれる女の姿を偶然に発見する。
かつて愛し合った男女が一度もことばを交わすことなくプラトニックな関係を何十年間も続ける。別の人生を歩んだ二人だが、そこには切ることの出来ない絆があった。その関係性は「恋愛」とか「友情」のような、わかりやすい既成の言葉に収まらないものだ。読者の年齢や経験によって多様な解釈が生まれそうだ。
これは読まないと損なかなりの傑作。新潮の100冊入り。夏の読書におすすめ。
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