「告白―コンフェッション」「生存―LifE」 福本伸行とかわぐちかいじの漫画
なかなか面白かった2冊。
福本伸行のヒット作「カイジ」が私はどうも好きになれない。あの命がけの賭博のキリキリした焦燥感はたまらない魅力なのだが、あの妙に単純化された人物の絵が、密な劇画タッチが好きな私としては苦手なのだ。もっとちゃんと描いてくれたらよいのにと思ってしまう。一方、かわぐちかいじの沈黙の艦隊は絵はまさに私の好みなのだが、ストーリーが壮大すぎて途中で飽きてしまった。
というわけで、福本伸行が原作を書いて、かわぐちかいじが作画というコンビは、私にとっては、よい組み合わせなのだ。2冊みつけたので連続で読んだ。
末期ガンで余命を宣告された定年間際の男が自殺を図ろうとしたそのとき、警察から一本の電話が入る。それは15年前に行方不明になった娘の遺体が発見されたという知らせだった。娘は何者かによって殺されていた。時効と余命のふたつのタイムリミットに追われながら、男は人生のすべてを賭けて犯人を捜す旅に出る。
雪山で遭難した友人同士の二人が嵐の中で死を迎えようとしていた。男は死の前の懺悔代わりに、友に対して過去の許されない罪を告白する。友はそれを聞く。二人は告白によって心を軽くして死ぬはずだった。ところが告白の終わった瞬間に、急に嵐はやみ視界は開けて、目の前には無人の山小屋があらわれる。生き残った二人に致命的な告白が重荷としてのしかかる。救助を待つ山小屋は疑心暗鬼と狂気の空間になる。
どちらも人間同士の心の葛藤が沸騰して地獄の様相を呈するまでの過程を描き出している。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 「告白―コンフェッション」「生存―LifE」 福本伸行とかわぐちかいじの漫画
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/2233