凍える森
「凍える森」は20世紀前半に発生したドイツの大量殺人事件を題材にした小説。
ドイツミステリー大賞受賞で今年映画化が決まっている。
現実の事件の情報は、Wikipediaにも掲載されていた。研究サイトもある。
・ヒンターカイフェック事件 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%AF%E4%BA%8B%E4%BB%B6
「ヒンターカイフェック事件とは、ドイツ史上最も謎の多い犯罪として知られる殺人事件。ヒンターカイフェックは、 バイエルン州の都市インゴルシュタットとシュローベンハウゼンの間(ミュンヘンの約70キロメートル北)にあった小さな農村。1922年3月31日の夕方、村の農場の住人6名がつるはしによって殺害された。事件は現在も解決されていない。6名の犠牲者は、農場の主人の男性(63歳) とその妻(72歳)、夫妻の娘(35歳、未亡人)とその子供2名 (7歳の女の子と2歳の男の子)、そして農場の使用人の女性である。」
そして「何年にもわたり100名以上が容疑者として尋問されたが」事件は未解決のまま現在に至る。この小説は近隣住民の証言集として構成されている。証言は語り口調で2,3ページと短いのでペースよく読み進められる。ときどき犯人視点の断章が挟み込まれる。証言の言葉の含みや矛盾をたどって真犯人を見つけ出す推理小説の醍醐味が最後の数ページまで味わえる。
宗教と因習にとらわれた農村の息苦しいムードが全体に漂う。一言で言うとドイツ版の八墓村。人間関係が密な村社会にあって被害者一家は人づきあいを嫌うはぐれものだった。証言が重ねられるたびに、少しずつ事件の全貌が明らかになっていく。暗い闇の向こうに知られざる一家のおぞましい秘密があることが見え始める。
伏線や隠し方が巧妙で何度か読み返して楽しめる名推理小説。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 凍える森
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/2203