ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。

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・ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。
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著者の橘川さんとはかれこれ5年以上お会いしていないのだが、私にとっては恩人の一人である(と勝手に思っている)。橘川さんは1996年、まだ私が学生をしている時代に「デジタルメディア研究所(略称デメ研)」を設立され、大手メーカーのマーケティングプロジェクトなどをプロデュースされていた。その一環の座談会に私は何度か呼んでいただいたのだった。

ほんのお小遣い稼ぎのつもりで参加したのだが、それはちょっとした感動だった。まずフリーランスでありながら大企業のマーケティングに対して強い影響力を持つ、そのカリスマぶりにしびれた。

そのころから私は雇われない生き方に憧れていた。フリーランスやベンチャーという生き方候補のモデルケースとして橘川さんが強く印象に残った。実は「ロッキングオン」という伝説的な雑誌の共同創業者であったり、パソコン通信の時代からデジタルメディアのマーケティングの専門家として有名な方であったということなどは、はずいぶん後になって人から聞いて知ったことだった。当時は、ただただ、目の前の颯爽とした橘川さんがかっこいいオヤジだなあと思ったのだった。

それで「橘川さんという面白いオヤジと出会ったよ」と知人らに話したところ、「実は私は(僕も)デメ研の秘密研究員なんだよね」という人が複数出てきて、その証のロゴマークのシールを見せびらかされたりした。よし、私もいつかはデメ研の秘密研究員に任命されるほどの人間になってみせようぞと、密かに思っていたのであった、あれから10年。

この本はその橘川幸夫語録である。本を手にしたとき、いくら橘川先生とは言え「存命中に本人が自分語録を出すってどうなの?」と正直思ったが、開いてみると教条的厭らしさはまったくないっていうか、もろにロックでパンクである。不良である。ぶんなぐられた気がする。

私が気に入った名言ベスト4を紹介する。

「あなたがどんな人間かは、あなたがどんな音楽を聴いていて、どんな服装をしているかでわかる。でも、そんなわかられ方って屈辱だろ?」

「思想というのは自分の中を鋭く突きぬけていくものと、自分の中をさわやかに吹き抜けていくものがある。人もまた。」

「友だちの友だちは、赤の他人に決まってる。1対1の関係をなめないように。」

「誰にも言えないことがあるとしたら それはむしろあなたの宝物として扱え」

「負けたフリして諦めない。逃げたフリして攻めあげる。」

「言葉は社会遺伝子である。個人が見たこと聞いたことを、言葉という遺伝子にして次の時代に手渡すのだ。」という使命感で書かれたそうだ。とりあえず私は受け取りましたよ。

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このページは、daiyaが2008年4月29日 23:59に書いたブログ記事です。

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