一億三千万人のための小説教室

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・一億三千万人のための小説教室
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私は小説を書くのが子供の頃からの夢である。でもまだひとつも書いていない。いいガイド本はないものかとずっと探しているわけだが...。

高橋源一郎が書くのだから並みの内容ではあるまいと予想して読んだが冒頭から「実際、わたしの知っている限り、「小説教室」や「小説の書き方」を読んで小説家になった人はひとりもいません。」と読者を突き放す。

「真実というものは、知ってみると、たいていガッカリします。身も蓋もない、という感じだからです。この「小説家」の代わりに、「音楽家」や「数学家」や「建築家」ということばを入れてみてください。みんなあてはまっちゃう。ほんとに、真実って味気ない。」

とはいいつつも、もちろん高橋源一郎なりのアドバイスがある。「つかまえる」「口まねする」という二つの方法が小説家になる近道だと教えている。

つかまえるというのは、生きていればいろいろなボールが飛んでくる、ボールの中にはきっと小説も含まれているのでつかまえなさい、という意味。古今東西の名作の一節を引用して、ほら今何か飛んできたでしょ?あなたわかった?という風なケーススタディが続く。

「ふつう、人は、なにかを考えて、それから、おもむろに、その考えたなにかをことばで表現する、と思われています。しかし、それは、まったくの誤りではないでしょうか。ほとんどの「小説教室」で、まちがったことを教えるようになったのは、そのせいではないか、とわたしは思ったのです。まず、口まねがあるのです。」

好きな小説家の文体を真似してみなさい。そうすればそれを書いた人の感覚で世界を見る練習をしていれば、自分のオリジナルの視線と融合して、やがて自分自身の小説も書けるようになるよ、と高橋源一郎は言う。キャラクターが自然に動き出すという状態に近いのだろうか。

「小説家は、小説の書き方を、ひとりで見つけるしかない」。小説家志望の孤独な挑戦を、もしかすると近道になるかもしれないヒントを提示することで勇気づけてくれる本である。

・物語の作り方―ガルシア=マルケスのシナリオ教室
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005281.html

・2週間で小説を書く!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004901.html

・人生の物語を書きたいあなたへ −回想記・エッセイのための創作教室
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001383.html

・小説の読み書き
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004878.html

・書きあぐねている人のための小説入門
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001082.html

このブログ記事について

このページは、daiyaが2008年3月17日 23:59に書いたブログ記事です。

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