なんたって豚の角煮
角煮がこんなに深いとは。この本すごい。
著者の土屋敦さんは、オールアバウト「男の料理」の2代目のガイドだ。2004年7月にガイドに就任して、オリジナルのレシピの公開を始めた。ふつうは新しく公開したレシピがアクセスを集めるはずなのに、なぜか初代ガイドが残していった「豚の角煮」レシピがアクセス数の上位にあがってくる。がんばって新しいレシピを追加しても、むしろ、じわじわと「豚の角煮」の順位は上がり続けて、ついに首位になってしまったのだという。
「サイトを見てくれている人に会うと、「あの角煮、おいしそうですね」、「角煮作ってみました!」などといわれることが多い。そのたびに、「いや、あれは僕のレシピじゃなくて、前のガイドさんのレシピなんです。そもそも僕は、二代目のガイドで......」などと、まどろっこしい説明をしなければならない」という、悔しい日々。ブロガーとしてこの気分はよくわかるなあ。
そこで初代の豚の角煮を超える究極の角煮を開発すべく、2年に及ぶ執念の角煮づくりの成果報告がこの本である。山菜角煮、ワカメ角煮、山椒角煮、トマト角煮、魚醤角煮 古代ローマ風、アサリとセリのコチュジャン角煮、栗角煮 中華風、自然薯角煮、白菜角煮、ブリ大根角煮、牡蠣角煮、タマネギのオーブン角煮、揚げニンニクと春雨の角煮、豆乳角煮、漬け菜角煮などなど延々と続く27種類の角煮のレシピ。生唾が出そうなカラー写真で作り方を紹介している。
この本は角煮に特化した特殊な料理本であると同時に、田舎暮らしの体験記でもある。著者は佐渡に移住して家族で田舎暮らしを実践している人である。そのスローライフと、煮込みに時間を要する角煮づくりの話が重なっていい味を出している。本当はこれは料理本ではなくて、田舎でゆっくり角煮をつくる人生のすすめ、な本なのだ。
私はこれを電車で読んでいたのだが、もう角煮たまらんと思って、降りてすぐにこだわりの角煮を出す店に食べに走った。角煮はこだわりがないとだめな料理だと思う。普通の店や家の角煮ってあんまり感動しない、というか、ふつうだ。好物ランクで90位くらいだ。店が看板メニューにしているような角煮は時として感動的にがうまい気がする。そういうのは10位以内にアップする。この著者ほどのこだわりがあるならば、開発した角煮は想像を絶するうまさなのだろうなあ、とよだれがでてくる。
なお、究極の角煮のレシピは下記のページで公開されている。本には詳しい豚や調味料の銘柄のすすめもあるので今度自分で作ってみようかなあと思っている。
・極上!豚肉好きのための豚の角煮
http://allabout.co.jp/gourmet/cookingmen/closeup/CU20071108A/