アタマにくる一言へのとっさの対応術
言葉の合気道の本。
言われっぱなしはゴメンだが相手と争うのも賢くはない。
「大事なことは、相手の期待どおりに反応しないことです。とくに「相手が失礼な態度をとったのだから、ただじゃおかないわ」といった、ありきたりの復讐気分にひきずられるのは最悪です。そうではなくて、この出来事をひとまず距離をおいて冷静にながめてみましょう。たとえば「相手が私に対して失礼な態度をとったわ。これはなにか新しいことを試してみる絶好のチャンスなんだわ」といったように。好奇心をもつことが、あなたの精神衛生にとってはベストなのです。奇妙な人間を相手にするという新鮮さを発見してください。世界はあなたが実験をするためにあるのです。」
挑発に乗らず、相手を空回りさせることが、よい対処であるという。真正面から言い返してしまっては、相手の思うつぼであるし、心理的にも縛られてしまう。「あなたはちょうど太陽のまわりを回る惑星のように相手を軸にしてぐるぐると振り回されているだけなのです。相手の態度をかえてやろうとすればするほど、あなたはますます敵にしばりつけられていきます。」と著者はその状態を説明している。
そこで、この本では、アタマにくる人ことへの対応術として、
・相手の攻撃に対して黙ったまま身振りだけで対応する。
・相手の攻撃に答えず、まったく別の話題を切り出す。
・相手の攻撃をひとことでやり返す。
・相手の攻撃にまったく当てはまらないことわざで受け答えする
・あなたを傷つけた言葉の意味を聞き返す
・褒め殺しで返す
など12の手法が紹介されている。翻訳書なので日本でそのまま使うと怪しいものもある気がするが、大半がかなり有効なのではないかと思った。いや、こういう方法論を知っておくこと、本を読んでおくこと自体が余裕につながるのだと思う。
学生時代に電話受付けのアルバイトをしていた頃、お客からのクレーム電話でいきなり怒鳴られることは日常的だった。罵られることも珍しくなかった。「私は電話受け付けのプロである」と思うことで、これは研修で学んだワザの見せどころだとか、コミュニケーションスキル向上のよい練習だと思えて、むしろ、クレーム処理はやりがいがあったりもした。ある種のゲームとおもえば、心は傷つかず、冷静に対処することができた。
アタマにきたときどうするかの準備をしておくことって、天災に備えるのと同じくらい大切で、それ以上に有効なことなのではないだろうか。