化けものつづら―荒井良の妖怪張り子
息をのむほど妖艶でリアルな妖怪の造形写真集。京極夏彦の小説の表紙に使われているので、見たことがある人は多いはず。大きな写真で、さまざまな角度から見ることができる。その完成度の高さにきっと驚かされる。細部を見れば見るほど、生々しいのである。
表紙に使われた例:
・化けものつづらの展覧会の写真記録
http://ebikani.org/youkai/hariko/hariko.htm
この本にでてくる妖怪は、木型に紙を重ねてはり最後に型を抜く、張り子で作られている。張りぼてであるが故に、たいへん脆いものであるらしいが、紙の持つ独特の質感が、女の艶めかしい柔肌、妖怪のぬめるような皮膚、ごつごつした角や牙などを完璧に再現している。再現していると言っても本物の妖怪は見たことがないわけだが、圧倒的な臨場感を感じてしまう。
少し高めの値段設定だが、印刷やデザインもよくできた写真集だ。京極 夏彦、諸星大二郎、水木しげるあたりのファンなら感涙もので、永久保存版的な一冊。夜な夜な眺めてうっとりできる。