夕凪の街 桜の国
現在公開中の映画の原作。
・映画『夕凪の街 桜の国』OFFICIAL SITE
http://www.yunagi-sakura.jp/
「夕凪の街」「桜の国」は時代の異なるふたりの女性の物語である。舞台はヒロシマ。合計でたった120ページの短い漫画で、絵柄も地味なのだが、重なり合う二話は緻密に構成されており、2時間の映画に匹敵する人間ドラマが描かれている。大傑作。
映画監督 黒木和雄の原爆三部作「Tommorrow」「美しい夏キリシマ」「父と暮らせば」と作風がよく似ているなあと思う。戦争や原爆の悲惨さを直接は描かず、残されたものの生活や心を静かに描く。
・父と暮らせば
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002020.html
・「アトミック・カフェ」と「美しい夏 キリシマ」
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003460.html
作者は私と同世代で戦争を知らないこどもたちである。取材をベースにこの作品を作り上げたという。体験のないものでも戦争を語り継ぐことができることを証明したといえそうだ。平成16年度文化庁メディア芸術賞漫画部門大賞、第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞した。
同時に、戦争体験世代が直接語る漫画として、対極的な水木しげるの戦争作品も読んだ。壮絶な戦争体験の、直接的な漫画化だった。この体験があるからこそ、生死の境を超越した妖怪モノがあったのだなと、なんだか納得する。
・総員玉砕せよ!
「昭和20年3月3日、南太平洋・ニューブリテン島のバイエンを死守する、日本軍将兵に残された道は何か。アメリカ軍の上陸を迎えて、500人の運命は玉砕しかないのか。聖ジョージ岬の悲劇を、自らの戦争体験に重ねて活写する。戦争の無意味さ、悲惨さを迫真のタッチで、生々しく訴える感動の長篇コミック。」