「いき」の構造 他二篇

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・「いき」の構造 他二篇
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日本民族独自の美意識「いき(粋)」とは何かについて書かれた昭和5年の古典。

この本にでてくる表現としての「いき」についての記述を集めてみた。

「まず横縞よりも縦縞の方が「いき」であるといえる」
「縞模様のうちでも放射状に一点に集中した縞は「いき」ではない」
「模様が平行線としての縞から遠ざかるに従って、次第に「いき」からも遠ざかる」
「一般に曲線を有する模様は、すっきりした「いき」の表現とはならない」
「一般に複雑な模様は「いき」ではない」
「幾何学的模様に対して絵画的模様なるものは決して「いき」ではない」
「「いき」な色彩とは、まず灰色、褐色、青色の三系統のいずれかに属するもの」

これだけだとよく分からないが、ビジュアル表現として、何らかの二元性を内包していないと「いき」ではない、ということなのである。

それはいきの構造と関係がある。

まず「いき」とは、男女の関係から現れたもので、

1 異性に対する媚態 なまめかしさ、つやっぽさ、色気
2 江戸っ子の意気地 異性への一種の反抗意識
3 運命に対する諦め 垢ぬけ、解脱

の3つを構成要素とするものだと著者は定義する。

真剣で一途な恋は「いき」ではない。恋の束縛から自由な浮気心は「いき」である。追いかけすぎてもいけない。もっといえば「運命によって諦めを得た「媚態」が「意気地」の自由に生きるのが「いき」である」。

「要するに「いき」とは、わが国の文化を特色附けている道徳的理想主義と宗教的非現実性との形相因によって、質料因たる媚態が自己の存在意義を完成したものであるということができる。」

この本の特徴は「いき」をトポロジーで説明したことだ。表紙にあるこの図は見ていて飽きない。さらに詳しい解説を読みこむと、漠然としていた言葉の意味がすっきりと整理される。

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「いき」の説明を通して、同時に野暮、意気、渋味、城品、下品、地味、派手という伝統的な日本の趣味の位置づけを説明している。

併収された『風流に関する一考察』『情緒の系図』も「いき」論と関係する部分が多くあり、近代日本の美的センスについて、詳しくわかる。

このブログ記事について

このページは、daiyaが2007年7月16日 23:59に書いたブログ記事です。

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