Portraits
世界各国240人の顔を真正面からまじまじと見る写真集。
写真家スティーブ・マッカリーを知ったのは、ナショナルジオグラフィック誌2002年4月号の「「アフガン難民の少女」、ついに発見」という特集記事から。1985年に同誌の表紙として使われ、世界的に有名なポートレート写真となったアフガンの少女と、写真家が再会したという内容だった。この緑色の瞳の少女の写真は以前に見て強く印象に残っていた。
英語の解説に「The intensity of the subject's eyes and her compelling gaze made this one of contemporary photography's most celebrated and best-known portraits. 」と書かれていて、なるほどと思った。うまい訳し方がわからないが、”compelling gaze”がこの写真家の作品の肝なのだと思う。
表紙の代表作以外にも、人の顔って味わい深いなあとしみじみ思える作品ばかりである。顔のつくりや表情はもちろん、顔や手に深く刻まれた皺、目の充血ぐあい、着ている衣服、撮影場所の背景から、その人たちが生きている人生を想像してページをめくる。
アジア・アフリカが力強さで圧倒している。”compelling gaze”がいっぱいある。
インド、アフガニスタン、パキスタン、チベットなどアジアの国々や、マリなどアフリカの国々の人たちの顔は力強く見える。猥雑な背景で撮影しているからかもしれないが、やはり眼が違う。たまにアメリカ人やイギリス人が混ざっているが、いくら体格が良くても、眼が弱くて、とてもひ弱に見えるのである。なぜか日本人は一人も居ないのは残念。
この写真集は、基本的には市井の人々を写した作品集だが、何人かは世界的有名人を同じように撮影したポートレートが、何枚か、説明もなく混ざっているサプライズ要素もある。写真館風ではない、本物ポートレートを見たい人におすすめ。
・オフィシャルサイト
http://www.stevemccurry.com/main.php
・スティーブ・マッカリー
http://www.magnumphotos.co.jp/ws_photographer/mcs/index.html
・ナショナル ジオグラフィック 日本版 2002年4月号
http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/bn/200204.shtml
・MagnumPhotos
http://www.magnumphotos.com/Archive/C.aspx?VP=XSpecific_MAG.PhotographerDetail_VPage&l1=0&pid=2K7O3R13O2CM&nm=Steve%20McCurry