仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本
著者は「バロック」「キングオブワンズ」「ぷよぷよ」「トレジャーハンターG」「魔導物語」等のゲームを監督/脚本/企画した米光一氏。仕事のプロジェクトをロールプレイングゲームの冒険に見立てて、その攻略法を説く。
米光さんはプロジェクトに対する観察眼が鋭いなあと何度も感心した。
「 根本の部分で冒険をデザインできていないと、必要のない苦労をすることになる。そうすると、人は「あのリーダーは人望がない」なんて言う。「人望がない」なんて言われると、簡単にはどうにもならない気がしちゃうけど、そんなことはない。
ぐらぐらした土台の上で、ふらふらしながら、怒鳴ったり、愚痴を言ったり、言い訳しているから「人望がない」と思われる。
冒険の土台をしっかり作れば、それだけで「人望がある」状態になる。かんたんだ。」
これは、自分の経験でも、その通りだよなあと、しみじみ共感する。
いいリーダーになれるかどうかは、能力や性格がどうだという以前に、ちゃんとした土台に立っているか、が問題なのだ。みんなが楽しめる、しっかりした土台の上にいるなら、ちょっとくらい優柔不断だったり横暴だったりしても、愛されるリーダーになったりするものだ。だからプロジェクトのデザインができる人こそ、いいリーダーなのである。
それから、”王様”とのつきあい方。これは他のプロジェクトマネジメントの本にはあまり書かれていない重要な事柄だと思った。若い勇者の冒険には”王様”という存在がつきものだ。会社という王国を率いてきた上司であったり、スポンサー、プロデューサーという人たちのことである。彼らは自分たちの方法論で成功した時代があった。
「新しい冒険では「旧A」という方法は使わない。別の「新B」という方法で行う。
勇者たちは「新B」という方法のよさをわかっている。逆に「旧A」については現場的な知識はないことが多い。古いよな「旧A」は、と思っている(そして実際に古くなっている)。
だけど、「旧A」という方法でがんばってきた人たちにとっては、とても愛着のある方法だ。だから、勇者が「新B」の良さを言えば言うほど、勇者にその気がなくても「旧A」が否定されたように思えてしまう。」
王様の「旧A」に敬意を見せつつ、「新B」をやらせてもらう関係づくりが必要であるという話。この本のノウハウは、昔の言葉でいえば、空気を読み、根回しを怠るな、ということでもあるようなのだが、現代の勇者の気質向けにアップデートされている。
「ギラギラと競争するより、仲間と一緒にレベルアップしたい!
あくせく出世を狙うより、仕事を楽しく、充実させたい!
「オレについてこい!」と言われるより、自分で動きたい!
こう思っている人には、きっと最強の攻略本になります。 」
「ついてこい」式ではない、リーダーシップ論とも言えそう。
それから「ダメな会議の座席表」にバカ受けした。本のデザインやサイズもゲームの攻略本風で、最初から最後まで楽しく読める。