大人の写真。子供の写真。
53歳のカメラマンと姪の6歳の女の子が一眼レフカメラを持って表に出る。同じ場所を撮影した大人の写真と子供の写真を見開きに並べて、カメラマンがコメントを書く。その繰り返しで一冊の本ができあがった。コンセプトが素晴らしい。
「大人は作品にしようとする」「子供は撮りまくる」
「大人は意味を探そうとする」「子供にはもともと意味なんてない」
大人は構図を考えて画面に意味を作り出そうとする。それなりに整った絵になるがありがちなフィクションになってしまう。それに対して子供の写真は視線そのものだ。被写体を見たままに写しているから、見る者がそこから意味を汲み取ろうとする。大人の写真より、子供の写真の方が印象が強いものになっていたりして、面白い。
大人が街頭でスナップを撮ろうとすると写される側は警戒したり、構えたりしてしまう。子供が撮ろうとすると被写体はみんな笑った顔になる。視線の高さも違うから、構図も自然に違ってくる。2枚の写真を見比べていると、いろいろな違いがわかって楽しい。
私は一眼レフ、息子(3歳)はコンパクトカメラで、この本と同じカメラ遊びをよくやる。息子は「白いところ撮る!」とか「緑色を撮った」などといって壁や床の一部を撮って喜んでいたりする。色を撮りたいなんて大人はなかなか考えない。ビルの窓や壁の装飾のテクスチャーを切り取っている。印刷してみると、息子の写真の方が芸術的にみえて驚くことがある。
以下、3歳の実物作品集。