宇宙のランデヴー3〈上〉〈下〉
「最初の訪問から70年をへて再度太陽系を訪れた謎の飛行物体ラーマは、それを脅威とみなした人類の核攻撃を受け、破壊されたかに見えた。しかし―ラーマは生きていた!人類の調査隊員3人をその内部に閉じこめたまま、ラーマは太陽系を離れ、どことも知れぬ目的地をめざして虚空を飛びつづける。そして深宇宙の彼方でラーマが停止したとき、そこに待ち受けていたのは、人間の想像をはるかに超えた巨大な構造物だった。」
そして”3”である。”2”の数十年後に3回目のラーマの接近があるという始まり方をするものだと、私は予想していたので、冒頭から面食らった。これは、前作で太陽系を離脱していくラーマに取り残された、あの3人の物語だったのである。
3人はラーマの内部に生存可能な環境をみつけて長い孤独な生活を始める。事実上の主役となるニコルは、そこで子供を産み家族をつくる。そしてラーマは星間飛行を終えて停止する。それは長い旅の終わりではなく、壮大な宇宙叙事詩の幕開けであった。
ここから物語はまったく新しい展開を始める。人類のラーマへの大量移住と人類社会の腐敗。地球外生命体との接触。ニコルの一族の運命は予想もつかない方向へ転がっていく。
”2”は”3”と”4”の舞台を作るためのプロローグに過ぎなかったようだ。率直に言って続編群は作品としての完成度は初作に遠く及ばない。だが、アーサー・C・クラークらの想像力の果てを確認したい熱心なファンは読まざるを得ないだろう。謎の答えが少しずつ明かされる。随所に盛り込まれる文明批判の視点を説教臭く感じるかどうかが、好き嫌いの分かれ目になりそうである。
ところで第一作のときから私はラーマの構造を視覚化できずに困っていた。巨大な円筒体の内部に関する詳細な記述はあるのだが、イラストは一枚もないため、物理的な形状を想像するのが難しかった。
ラーマの構造を絵にした人がいないかとネットで調べていたところ、ラーマ世界の全体や物語のシーンにインスパイアされて3DCGを描く人たちのサイトを発見した。ラーマの神秘的で荘厳な印象を損なわずに立体的に描写している。壁紙にしたいほどの完成度。
・Welcome to RAMA3D
http://www.rama3d.com/
・宇宙のランデヴー
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004864.html
・宇宙のランデヴー2(上)(下)
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004872.html
・宇宙のランデヴー3〈上〉〈下〉
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004873.html