デジタル・ワークスタイル―小さなことから革命を起こす仕事術
・デジタル・ワークスタイル―小さなことから革命を起こす仕事術
ブログブームの仕掛け人の一人、FPNの徳力基彦さんが書いたデジタル時代の仕事術。
「作業時間を半減させるためのルール」がどれもうなずける内容。新しい仕事ツールと発想の切り替えを積極的に導入して、生産性を高めるライフハックのすすめでもある。忙しい中で、ひとり涼しい顔をして、仕事をするためのノウハウがわかりやすい本だ。
1 小さな改善で将来の時間を生み出す
「改善はできるだけ早くとりかかったほうが効果は大きい」。ライフハックの工夫は多くが数パーセントの生産性の違いを生み出すものだ。この係数は時間に対してかかっている。早く導入すればするほど、大きな結果がでてくる。
2 1×100と、100×1は同じではない
「類似の作業はまとめて処理した方が得だ」という。これは私も同感で以前、この書評の中で書いた「「拡散系の思考と収束系の思考を交互に繰り返すと効率が悪い」という考え方と似ている。
・続「超」整理法・時間編―タイム・マネジメントの新技法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003325.html
3 ツールで時間が節約できているかを考える
「ツールに使われていては意味がない」。事例として「メールを定期的にチェックして新着があったらデスクトップに知らせるソフト」で5分おきに仕事を中断させられる本末転倒の例があった。ツールに踊らされては意味がない。
マウスの移動、作業別所要時間、ネットワーク使用量と時間帯などを計測するツールを使って、自分の仕事を客観的に分析してみるのがよさそうだ。この本では「受信したメールよりも、送信したメールの方が後で役に立つ場合が多い」など鋭い指摘もある。改善ポイントをみつけるためのツールとしてこのブログで取り上げたソフトとしては以下のようなものがある。
・マウスの走行距離で旅行気分
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002184.html
・「作業時間計測ツール」でコストを意識する
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002581.html
・PCのネットワーク利用量を監視、記録するNetMeter
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003030.html
自分のデスクトップ作業の分析について数年前に、あるサイトに以下の文を寄稿していた。原稿を発掘したので再掲してみる。
「
■580メートル 私の1日のマウス移動距離の平均
私は最近、デスクトップの作業を分析する面白いツールを見つけました。modometerは海外のフリーウェアです。デスクトップに常駐して、アプリケーション別にユーザのマウス、キーボード操作を記録しています。デスクトップの万歩計みたいなものです。
・modometer
http://www.modometer.com/
このソフトで記録を開始してから約50日が経過しました。この期間の走行距離は29000メートル。1日のマウス平均移動距離は、580メートルでした。ずいぶん動かしているんですね。
ログに記録されるのは、マウスの移動距離や左右クリック数、ダブルクリック数、スクロール距離、キーボードの打鍵数などです。これらの項目をリストとしてHTMLやExcelの表に出力できます。私は2週間ほど、このツールで自分の作業ログを記録してみました。使用アプリケーションの上位10位のリストは以下の通りです。
--------------------------------------------------------------------------------
http://web.archive.org/web/20041209064341/www.adnec.com/blog/archives/hashimoto/MouseOdo.html
--------------------------------------------------------------------------------
こうして眺めてみると、一番使っているのは、ネット調査の仕事がメインの私の場合にはWebブラウザーです。次にファイル操作やメールの読み書きに手間をかけているようです。メッセンジャーのチャットや文書作成系が続きます。
何に手間がかかっているかを知れば、それらのシーンを改善すれば、少なくともデスクトップでの作業は負荷が軽減されます。私の場合にはWebブラウザー支援ツールや、メール作成支援ツールを投入すればよいということになります。
実際、ユーザビリティ研究の世界では、計量化アプローチというのがあります。大手のソフトウェアメーカーの開発部門では、マウスの移動距離やクリック数を厳密に計測して、、何が操作コストとして高いかを判断して、高速化しているのです。modometerを使えばそんなプロの調査も簡単にできてしまいますね。
私の場合には、ブラウザー支援ソフトなどを使ってインターネット系アプリケーションの操作を効率化するのが一番効果がありそうです。皆さんも自分のデスクトップで試して、処理の改善を分析してみては?。
」