頭がいい人が儲からない理由

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・頭がいい人が儲からない理由
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サムシンググッド、アドビスシテムズ、ウェブマネー、ソフトウィング、アルファシステムなど、多数のIT企業を創業した業界の風雲児 坂本圭一氏が語る経営哲学。表題を見た時は、コンサルタントが書くありがちなノウハウ本かなと想像していたのだが、まったく違った。序盤は成功の理論をノウハウ風に教えているのだが、章が進むにすれ著者の情熱ボルテージがあがっていき、結局、異常なほどの執念深さと圧倒的な行動力こそ成功の秘訣だ、おまえなんでやらないんだと、アジっている。その語りの迫力に飲まれる。

確かにそうなのだろう。会社を上場させたり、億万長者になった経営者たちを私も身近に何人も見てきたが、あっさりした人なんて一人もいなかった。みな執念深さでは共通していた。なんでもその場で決めようとするせっかちな性格で、課題を次の会議に持ち越すことは決して考えない人たちだった。

著者の批判する「頭のいい人」は、理屈ばかりで行動しなかったり、うまくいった戦術の延長線上に戦略があると考えたり、普遍的な成功の秘訣を探しまわっている。だが、多数のプレイヤーがあの手この手を使って戦うベンチャー市場では、環境変化が激しいから、頭で勉強して身につけた知識が役立つどころか、敗因になってしまうことがあるという風なことを著者は語っている。

「歩が成ってと金になったといっても、しょせん将棋盤の上で威力が増しただけ。盤の外に出れば、まったく違う環境が待っているのである。」

「目の前の百の在庫をさばくというのは戦術のレベルである。だが、いくらその手の目先の戦術を重ねていったところで、三年後にシェア一位を確保するというゴールをクリアするための戦略になりはしない。その時、その時に全力疾走することが、つねに最善の方法論であるはずがないし、そもそも戦略というのはそうやって、演繹的にできあがるものではないのである。」

新しい市場では日々ゲームのルールが変わっているのだから、過去の経験にこだわらず、臨機応変ができる経営者が会社を大きくする。成功の真の秘訣は理屈じゃないんだ、というのが著者の理屈である。だから起業のために学校に行こうという人は起業家に向かないと言い切る。

著者は若い頃、事業に失敗し、大きな借金を背負うが、単身ちり紙交換でトラックを走らせ成功し、短期間で返済して復活した。その時、著者がどういう思いで、どう行動したのか、創意工夫ののエピソードが強烈に印象に残った。肝なのでここには内容を書かないが、発想と行動力で駆け抜ける著者の生き方の原点なのだろう。魅了された。

「ワタシ起業しようかどうか迷ってるんですけど、やったほうがいいと思いますか?」という状況の人はこの本を読んで、諦めたらいいと思う。逆に全力疾走中の人は燃料補給本にいいと思う。理屈を超えた部分が多いが、とてもとてもエキサイティングな本だ。

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このページは、daiyaが2007年5月11日 23:59に書いたブログ記事です。

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