宇宙のランデヴー2(上)(下)
宇宙のランデヴー 続編
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004864.html
「西暦2130年、忽然と太陽系に現われた謎の飛行物体―ラーマと名づけられたこの物体は巨大な宇宙船と判明した。内部への侵入に成功した調査隊の必死の努力にもかかわらず、この異星人の構築物は人類の理解をはるかに超え、多くの謎を残したまま太陽系を去っていった。それから70年後、第2のラーマが太陽系に姿を現わしたが…名作『宇宙のランデヴー』で解明されぬまま残された謎に人類が再び挑む、ファン待望の続篇。」
アーサー・C・クラークが傑作「宇宙のランデヴー」を1973年に書いてから16年後の1989年に出版された、まさかの続編。しかも当時既にSFの権威であったクラークが、NASAジェット推進研究所主任研究員のジェントリー・リーとの共著として書いた。物語の舞台は前作から70年後、再び別のラーマが地球に接近する。今度は十分に準備を重ねた調査チームが組織され、2つめのラーマの謎に迫っていく。
ラーマを主役にして人間ドラマの要素が薄かった前作に対して、この続編では探査メンバー間の葛藤が物語の核となっている。映画を意識していたのだろうか、登場人物の性格や関係がわかりやすいのだが、深みがない。そのため、この続編の批評家たちの評価は決して高くないのだが、前作のラーマの世界観にヤられてしまった人は読まざるを得ないのである。
進化レベルがまったく異なる知的生命体が接触した場合、高次の存在は下位の存在をどうとらえるだろうか。もしかすると、人間がアリの巣をみかけても話しかけたりはしないように、高次な知的生命体も人類に敢えてコンタクトしたりはしないかもしれない。前作では人類の接触に反応せずに悠々と太陽系を通過していったラーマだったが、2回目の接触では何が起きるか、が読者の最大の関心であろう。その基本部分では満足できた。宇宙のランデヴー3も読もうと思った。
共著者ジェントリー・リーには22世紀までの未来を予想したこんな著作もある。
・22世紀から回顧する21世紀全史
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000419.html
・宇宙のランデヴー
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004864.html