図説 50年後の日本―たとえば「空中を飛ぶクルマ」が実現!
・図説 50年後の日本―たとえば「空中を飛ぶクルマ」が実現!
東京大学と野村證券の共同研究として、50年後の未来について考える「未来プロデュースプロジェクト」の研究成果。15人の東京大学の各分野の研究者が、産業・生活・世界の3つのグループで討論した結果をわかりやすくまとめたもの。現在の科学技術の延長ではなく、ブレークスルーが起きることを前提として自由発想で未来を描いている。未来の予想の内容をあいまいにぼかさず、「2055年には「エアーカー」という今までの自動車とは異なる新しい車が生まれ、街中を走りまわります」みたいに言い切る潔さがかっこいい本。科学的根拠だけでなく、こんな形のものがあったらいい、社会にとってこういったものを築きあげる必要がある、という視点が予測の基本姿勢にある。
私が気になって付箋を挟んだ項目をリスト化してみた。
・地震の揺れを吸収する「考える土」
・服を入れるとクリーニングするタンス
・東京ー大阪間を30分でむすぶ超電導磁気式リニアモーターカー
・自家製ゴミ発電
・今日の体調に最適化する家庭用サプリメント製造機
・自分にぴったりのテーラーメイド美容液
・量子コンピュータ
・軌道エレベータで宇宙へ
科学技術の未来といえば宇宙開発が私は最初にイメージするのだけれど、地上3万6千キロの軌道までのエレベータをつくり6時間をかけて宇宙へ移動する軌道エレベータが構想されている。NASA出身の研究者達が設立したLiftport Groupでは一般投資家から投資を集めて、ちょっと気の長いカウントダウンまで始めている。
・Liftport Group Home
http://www.liftport.com/
軌道エレベータのロードマップ
・LiftPort Group、さらなる宇宙エレベーターの開発テストに成功 (MYCOMジャーナル)
http://journal.mycom.co.jp/news/2006/02/22/364.html
コンピュータの進化では量子コンピュータ、ナノサイズの3次元トランジスタなどが実現されるという。バイオ分野では、イノベーションが人間の生命や健康に大きな変化をもたらす。
仕事柄、普段、パソコンの中でどんな新しいことができるか仮想技術ばかりを考えているのだが、この本に取り上げられた多くは現実世界を大きく変える技術が多い。発想を広げるデータブックとしてとても参考になった。