順列都市
1994年に書かれてキャンベル記念賞、ディトマー賞を受賞した名作。
人間の記憶や人格といった精神活動のすべてが脳という物理的システムの上にある情報であるならば、そのコピーを作成することが可能なはずである。コピーを別のシステム上で走らせれば、それはもう一人の自分である。
肉体を持つオリジナルと違ってコピーは不老不死でいることができる。しかし、ソフトウェアである彼らは、それを走らせるハードウェアなしには存在し得ない。ハードウェアが停止されたり、破壊されれば終わりである。
物語の舞台は21世紀半ば、ソフトウェア化してスーパーコンピュータの中へ移相し、肉体の死を逃れた大富豪たちの前に、彼らの究極の願いである、未来永劫の生を約束する男が現れる。一方で男は人工生命のアマチュア研究者のマリアに接触し、謎の研究依頼をしていた。
人工知能や情報論の先端知識を駆使してハードSFの最高峰作家グレッグ・イーガンが書いた壮大な仮想世界の未来物語。物語の枝葉の部分でも深い考察をベースに書かれており、読み込み始めるとずぶずぶと深みにはまっていく感じがする。
上巻冒頭の奇妙な詩や各章題は、本書の英語の題名のアナグラムになっているそうで、イーガンの超人的な構想力には毎度のことながら圧倒される。
グレッグ・イーガンの邦訳作品(単著)をこれで全部書評したことになる。次がはやくでないかな。
追伸: 仮想世界といえばセカンドライフ。試してみました。レポートです。
それからコメント欄で最新邦訳がでたとの情報。感謝。買いました。
・セカンドライフ体験記 - PukiWiki
http://glink.jp/wiki/index.php?%A5%BB%A5%AB%A5%F3%A5%C9%A5%E9%A5%A4%A5%D5%C2%CE%B8%B3%B5%AD
・ディアスポラ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004111.html
・万物理論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002774.html
・祈りの海
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003779.html
・宇宙消失
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003824.html
・しあわせの理由
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003869.html
・グレッグ・イーガン全小説
http://www.tsogen.co.jp/web_m/yamagishi0603.html
はじめまして。板倉と申します。
>次がはやくでないかな
実は出てます。
http://d.hatena.ne.jp/asin/415011594X
うお。出たばかり!
ありがとうございます。
買いました。