「書ける人」になるブログ文章教室
ブログの書籍化に取り組むアメーバブックスの取締役編集長で小説家の山川健一著。
ブログはしょせん日記だけれども日本の文学史は土佐日記や徒然草、枕草子などの日記、随筆に母胎を持つという分析からこの本は始まる。近代になって知識人が大衆に教え諭す上位下達式の難解な文学が流行ったこともあったが、今はその近代文学が力を失い、再び「女子供が平仮名でだらだら書く日記。オヤジのグチ。身辺雑記」の伝統に戻りつつある、ブログの爆発的広がりはその表れなのだと著者はいう。
ブログは高飛車に書くと炎上するし、謙虚すぎても嫌味になる。普通の人間である書き手が、どういう態度でのぞむべきか、作者のアドバイスがいい。
「大切なのは、自分の立ち位置をはっきり決め、優越感と劣等感の両方から自由になり、「普通の人間」として心を込めて文章を書くことではないだろうか」。
私もブログを日々書いていて大切と思うのは自意識をどうコントロールするかである。自意識を前面に出した文章は反発を買いやすいし、しばらくして自分が読み返して恥ずかしいものだ。逆に自意識を殺しすぎると、温かみがなく、懐の深さが感じられない文章になってしまう。著者は「暖かな無意識」という言葉を使っているが、書き手の人柄が、故意に押し出されるのではなく、自然とにじみ出るような自意識のバランス調整が重要なのだと思う。
このブログが長く続いているのは書籍やソフトウェアという他者の著作にコメントする形式だからだと思う。もし今日個人的に考えたことや政治経済や社会について時事評論を書くというテーマのブログだったら続いていなかったのではないかと思う。主観的過ぎるものも、客観的過ぎるものも、自意識の自己崩壊がおきやすいと思うからだ。
それでも個性の手触りこそ表現の核である。
「もっとも個別的なものこそが普遍にたどり着く。それこそが表現が持つ錬金術の秘密なのである。」
読者が1万人になっても特定のターゲット層10人や100人に向けたスタンスで書くのがよいと著者はアドバイスしている。
プロの小説家として文章術も語っている。接続語や語尾のバリエーションを豊かにし、改行や文章のリズムを工夫せよ、など。だが、この本の中心テーマは、小手先の文章術ではない。うまい文章を書くよりも、面白い内容を書き続けるための考え方が主体となる。
そして、編集者の視点でブログを書籍化するためのアドバイスが最後にある。プロフィールをできるだけ公開せよ、ブログ全体レベルに起承転結的な構造を意識せよ、より大きな作品のためのノートとしてブログを位置づけよ、など。
編集者の目からどう見えているか、が重要なのである。私はちょうどブログの書籍化という目標を達成したばかり。3年半かかってしまったが、この本のアドバイスを知っていたら、もうちょっと早かったかもしれない。
はじめまして
僕もこの本を読みました
そして、僕もブログを書いています
が
「大切なのは、自分の立ち位置をはっきり決め、優越感と劣等感の両方から自由になり、「普通の人間」として心を込めて文章を書くことではないだろうか」。
本当にそうですよね
心を込めて文章を書く
心がけたいものです。