ホワイトハウスの超仕事術―デキるアシスタントになる!
大学で担当している前期授業が終了。今年は有能な学生アシスタントのM君に毎回とても助けてもらった。彼はまだ2年生だが放送部部長で、FMラジオ局で番組制作のアシスタントのアルバイトもしたりしているらしい。道理で現場アシスタントの役割を熟知しているなあと感心し、仕事のイベント業務も手伝ってもらったが完璧な動きをしてくれる。若いけれども、プロだと思った。
彼がいると、授業というフライトの「自動操縦」ができる。
「前列から席が埋まってほしいんだよね」とぼやくと、私に代わって「前から座ってね」と授業前に学生に呼びかけをしてくれる。それでも効果がないとわかると、次回から、入場時に教室の後列の照明を消しておく手法を編み出した。自然と前列からの着席になり、効果があった。
私の授業はパワーポイント資料を大きなプロジェクタースクリーンと、後列のモニターに投影して進める。ワーキンググループ活動の時間には課題内容を画面に投影している。このときに、私がプレゼン用PCで他の作業をしようとすると、「画面をフリーズさせますね」と確認してくる。最初、何のことかわからなかったのだが、プロジェクターの画面固定機能のことだった。これは便利だ。
ゲスト講師のいるときは、私がゲスト紹介を始めている後ろで、ゲストのPCの機器設定を手早く進めている。紹介が終わる頃には、ゲストがスムーズにプレゼンを開始できるようになっている。マイクの音量や照明、ドアの開閉に常に気を配っており、頼まないでも最適化してくれる。
こうしたことを、彼は、私を質問攻めにしないで遂行する。目で合図できるアシスタントは珍しい。私にはない機材知識や現場経験からの提案は有効なことが多い。授業やイベントの最初から最後までをイメージしている人間が、私以外にももう一人いるというのは、大変な安心感があり、自分の仕事に集中できる。
信頼関係ができて、いろいろな問題を話しかけたり、相談を受けたりするようになった。私が彼の主張に異論を唱えることもあるが、その場では反論しないで、いったん飲み込んでくれる。そういう彼の態度から、逆に自分が間違えたかもしれないと、私の方が内心気になり始める。アシスタントとしての彼の「飲み込み」は、私に対して反論以上の効果をあげている。
さて、この本は、大統領補佐官のアシスタントとして働いた後、クリントン大統領再選時のテキサス州選挙対策事務局長、ポロ・ラルフローレンIR担当役員などを歴任した女性アシスタントの仕事術である。
・ボスのためにどんな情報リストを管理すべきなのか
・書類整理、電話対応、スケジュール管理、出張手配などの技術
・ホワイトハウスで使われているブリーフィングメモの実物公開
・アシスタントのキャリア(いつかボスになるために)
・ボスとのコミュニケーション術
など、アシスタントの仕事について現場の経験をベースにたっぷり書いている。学生や新入社員はまずアシスタント業務につくことが多いはず。経営トップのマネジメント論も大切だけれど、アシスタントとしてプロになることが、トップへの近道であったりするかもしれないと思った。
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