生命 最初の30億年―地球に刻まれた進化の足跡

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・生命 最初の30億年―地球に刻まれた進化の足跡
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5億年前のカンブリア紀の進化の大爆発以後を取り上げた生命史の本は数多いが、この本は生命発生からカンブリア紀までの30億年間を取り上げている。哺乳類も恐竜もまだ誕生していない。酸素も十分にない古代の地球の海で、生命が初めて発生した瞬間を追うのが前半の主なテーマ。

著者は古生物学の大物。数十億年前の地層に、微生物の痕跡を見つけては研究している。
無生物から生物がいかに生まれたか。つまり、自然界のエネルギーで単純な分子が結合を繰り返し、複雑な化合物をつくり、ついには自己複製が可能になるシステムを生み出すにはどのような条件が必要であったか、を著者は岩石を顕微鏡で観察することで探るのである。


ここでわれわれは物理的なプロセスで形成できるほど単純でありながら、命ある細胞への進化の土台となる程度には複雑な分子群について考える必要がある。そのような分子には、みずからを複製でき、またいずれは複製の効率を上げる触媒化合物の合成を命じられるだけの情報や構造が備わっていただろう。さらにこの分子は、成長に必要な分子を周囲の環境から取り込むのではなくみずから合成し、化学エネルギーや太陽エネルギーを細胞の活動の燃料にくべ、生命誕生の物理的なプロセスから脱却して進化をたどれるようにした。」

著者はDNAとたんぱく質の間で情報を仲介するRNAが重要な役割を果たした分子なのではないかと考えている。RNAは、現在はDNAの情報転写のメッセンジャーとして脇役的に理解されているが、単体でも情報を蓄え、自己複製することがわかっている。RNAが生命起源なのだとすれば、それを生み出した原始地球の環境はどのようなものであったのか。最新の地質学の知識を使って、生命誕生の瞬間(といっても数百万年、数千万年の期間らしい)が描かれる。

過去の地球に大規模な氷河期と大量絶滅があったとする「スノーボールアース」説や、隕石や火星探査による生命起源の宇宙由来説など、最新の仮説も検討される。最初の30億年は最近の5億年よりも謎に満ちている。無生物から生物が生まれるという過程を科学者の言葉で説明する良書。

・眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004466.html

・へんないきもの
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002635.html

・生物多様性という名の革命
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004501.html

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このページは、daiyaが2006年7月24日 23:59に書いたブログ記事です。

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