通勤電車で寝てはいけない!―通勤電車と成功の不思議な法則
先日、朝の通勤電車の話。
老夫婦が満員の電車に乗っていた。私が乗り込んだ駅で、ちょうど席がひとつ空いて、おばあさんは座ることができたようだった。だから私はおじいさんの方と並んでつり革につかまった。
おじいさんの前には若いサラリーマンが足を投げ出して座っていた。席を譲る気はないらしいが、後ろめたいのか、自分の携帯をじっと見ている。次の駅を過ぎた頃から、おじいさんがサラリーマンに、「足をひっこめろ、ばかもん」と仕切りに怒り始めた。足を蹴飛ばしている。
おじいさんはかなり頑丈そうな体格で、サラリーマンの方がひ弱そうにも見えた。この場合、席を譲る、譲らないは、飽くまで好意であって、最初に私が違和感を覚えたのは、譲るのを当然とでも言っているような、おじいさんの態度なのだった。
おじいさんの罵声は次第に大きくなっていく。「聞いているのかお前」。サラリーマンは携帯の画面に逃げ込んで一層の無視をきめていた。席を譲らせるにしてはおじいさんのやり方、強引である。まあ、しょうがないよね、とサラリーマンに同情しかけたとき、おばあさんがすっと席を立った。
おばあさんが席を譲った相手は、おじいさんではなく、その隣、私の視界の外にいた、見るからに身重の妊婦さんだった。「ありがとうございます」と本当にうれしそうに譲られた席に座った。並んでつり革につかまる老夫婦と私と、足を投げ出し、携帯を見つめるサラリーマン。それを睨みつけているおじいさん。優しく妊婦に何ヶ月なの?と話しかけるおばあさん。
そう、おじいさんが怒っていたのは、サラリーマンの斜め前にしんどそうに立っていた妊婦さんに席を譲らない行為に対して、だったのだ。私はおじいさんに当初抱いた反感が申し訳なくなり、次の駅で私の前の席が空いたら、絶対に老夫婦に座ってもらおうと思ったのであった。
ところが次の駅で、老夫婦も妊婦もサラリーマンも降車していった。一緒に降車するのが決まりが悪いのか、サラリーマンは老夫婦がドアから出るのを見届けてから、慌てて自分も降りていった。
その空いた席に複雑な気分で私が腰掛けた。
そうして広げたのがこの本であった。通勤時間をコストではなく自己投資として有意義に使え、そのために敢えて通勤1時間以上かかる遠くに住んだらいい、そして電車の中ではこんなことができると、薦める本である。
「
片道一時間としても、一週間で十時間、一年だと約五百時間もの時間になる。この時間をただぼーっと過ごすのか自分を高める時間にするのか。この通勤という”継続の力”はあなどれない。寝てなどいられないはずである
」
この計算は私もしたことがあった。私の試算では、500時間は8時間労働ならば62.5日分に相当する。週休二日制ならばざっと3ヶ月の仕事量である。人月150万円のシステムエンジニアの仕事に換算するとざっと450万円。なにかビジネスを始められそうな投資に相当する。数人の長距離通勤仲間を集めれば「電車法人」が設立できるかもしれない。
問題は細切れの時間をどう集約するかなのだが、この本では、1日のシミュレーションや、情報収集、読書と勉強にあてたらよいとアドバイスがあった。私もかなり通勤時間活用派なので、著者の実践とこころがけには共感する部分が多かった。
満員電車で座れない日は、冒頭に紹介したような人間観察と、吊り広告の文章分析をするのもいいと思う。人間観察は少なくともブログのネタになるし、気になる広告キャッチコピーを集めておけば、企画立案に応用できる。。
やっぱり、寝てはいけない。
関連:
・通勤電車で座る技術!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003233.html
以前に書評した同テーマの本。この書評、その後、日経新聞記者の目に留まり、「橋本さん固有のワザは他にないのですか?」と取材され、後日にITコンサルタントの橋本さんのアイデアとして朝刊のコラム内で紹介されたりした。通勤ワザを通勤時間に考えることで通勤コンサルタントになるという道もあったりするかも。
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いや、なんか、すごく感慨深いです。
僕がいつも乗るバスはみんな自然と譲り合うので
とてもいい気分になります^^
私は7人掛け席をキチントした間隔で座り、6人で座らせないようにしています。
「空いてるんだからつめろ。」「人が来たらキチント座ればいいだろ。」と喧嘩を売られたこともあります。
もし、全車両6人づつで座っていたら、
10両の電車×一車両に7人掛け席が6個×1時間に10本の電車=1時間に600人の人間が席に座わりそこねていることになります。あぁ悲しいかな。
ちなみに私の電車ライフは読書を楽しんでいます。
そのおじいさんもさ、
妊婦に席をゆずってくれないか?
と声をかければいいじゃん。
意味不明なこと言って怒ってないで。
単なるコミュニケーション不全でしょ。
足を怪我して座っている時に,なんでこいつは譲らないんだろうと見られる時はつらいものです.