異国の迷路
直木賞作家 坂東 眞砂子が無名時代に旅行雑誌「るるぶ」に連載した短編を集めて構成。異国をテーマにしたショートホラーが12編。舞台はニューヨーク、パリ、東南アジア、ヨーロッパなどで、各国の都市の持つ雰囲気が、それぞれの物語に色濃く反映されているのが見事。
どの話も異国に旅する男女が情念の迷宮にはまり抜けられなくなる。なにかにとらわれて戻れなくなる。怖いのは亡霊でも妖怪でもなく、それを生み出している人間のこころなのだ。10数ページの短い物語だが、読者は毎回、深い深い迷宮の奥へひきずりこまれていく。
小品集だが傑作だと思う。
私が坂東 眞砂子を知ったのは、『死国』(1999年、東宝)、『狗神(INUGAMI)』(2001年、東宝)の原作者として、であった。人間の情念の怖さ、悲しさが描かれていて好きな2作品。特に狗神はおすすめ。
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