・ライフサイクル イノベーション 成熟市場+コモディティ化に効く 14のイノベーション

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・ライフサイクル イノベーション 成熟市場+コモディティ化に効く 14のイノベーション
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ハイテク製品を成功に導くマーケティング理論書「キャズム」から15年が経過した。

・キャズム
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著者の仮説の適切さはその期間の市場の動きで実証されてきた。企業の成長にはパターンがあり、適切なイノベーションを適切な時期に投入できるかが、企業の永続成長か破滅かの道を決めている。この本は、トレンドの急成長の分水嶺となる「キャズム」を超えて、市場の成長期にも衰退期にも、永続的に繁栄できるイノベーション戦略とは何かを語る集大成。

「コアとコンテキスト」、そして「慣性力」は今回のキーワードだ。


タイガーウッズにコアとコンテキストの間でどのように時間配分をすべきか問われたら、あなたはどのようにアドバイスをするだろうか?。

「自分の時間をすべてコアに集中させて、コンテキストは誰かを雇って任せればよい」

と助言するだろう。だが、ウッズが反論する。

「僕の収入の90%はコンテキストからのものなんだ。コアからではない。それでもコンテキストには時間を使うなというのかい?」

あなたは自信を持って言うだろう。

「もちろんだ。コンテキストから得た収入で、よりコアにフォーカスすべきだ。それが最終的に最も効率的な道だ」フォーカスと優先順位、これが差別化のためのイノベーションの課題だ

ウッズのコアとは天才的なゴルフの技能とその世界でのプレゼンスのことだ。コンテクストとは彼のCM出演や彼の名前を冠したゴルフ用品ブランドビジネスなどを指す。前者があっての後者なのだから、ウッズはゴルフの天才ぶりにこそ力を入れるべきだ。決して後者に注力すべきではない。これは誰でもわかることだ。

しかし、多くの企業がコンテキストに注力して失敗している、と著者はいう。競合優位性への貢献度ではなく、収入の比率に従って資源を配分してしまう。見かけ上、儲かっている部門に注力すればよいと思い込んでしまうのだ。

市場の変化によって、コアだったものがコンテキストになることがある。競合優位性の源泉であったものが、競合企業が模倣することで中立化し差別化要素ではなくなる。だから、企業は常にコアとコンテクストを見直し、適切な時期に次のコアを作り出さなければならない。

もうひとつのキーワード「慣性力」はその意思決定に影響を及ぼす。成熟した企業組織が過去のやり方を踏襲しようとする保守の力のことだ。この力は当初の戦略がぶれないように助けてくれる成功の源であると同時に、変革が必要な時期にそれを妨げる抵抗力ともなる。

大切なのは今、企業や技術や市場が、ライフサイクルのどの位置にあるかを正しく見極めることだ。新しいテクノロジーは最初は熱心なテクノロジー信奉者に受け入れられ小さな市場を形成する。この初期市場がマスメディアやクチコミによって増幅され、普通の人たちもテクノロジーを使いはじめる。この分水嶺がキャズムであり、前著のメインテーマであった。

・テクノロジー導入ライフサイクル
初期市場→キャズム→キャズム越え→ボーリングレーン→トルネード→メインストリート
本書では、さらに視野を拡大し、より大きな市場のライフサイクルから、企業の栄枯盛衰を説明している。たとえばカテゴリー成熟化ライフサイクルという大きな流れだ。

・カテゴリー成熟化ライフサイクル
成長市場→成熟市場→衰退市場→ライフサイクルの終わり

こうした市場の各ライフサイクルの中で、求められるイノベーションは異なるものになる。この本では100社以上のケース分析から、14のタイプのイノベーションをひとつずつ解説していく。適当なイノベーションによって、コアとコンテキストの配分、慣性力を最適化させるものこそ長期的な勝者になるということである。

「イノベーションのジレンマ」3部作のクリステンセンや、競争戦略論の古典のマイケル・ポーターなどと一緒に読むと、さらに深く理解できる。ITマーケティングに関わる人におすすめの一冊。

・明日は誰のものか イノベーションの最終解
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004017.html

・イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002943.html

・競争戦略論〈1〉
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001165.html

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このページは、daiyaが2006年5月25日 23:59に書いたブログ記事です。

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