とにかく目立ちたがる人たち
ホリエモン(堀江社長)、タイゾーくん(杉村議員)、ヤスオちゃん(田中知事)など、ここ数年の日本は、この本のいう「目立ちたがる人たち」に翻弄されている。劇場化、エンターテイメント化される社会の中で愛される「目立ち」とは何か。かつて、日本社会では敬遠されていた目立ちたがりが、近年、好意的に迎えられているのはなぜか?を、「キャラ立ち」「ヘタレ」「天然」などのキーワードで心理学者が解説する。
人格障害研究の権威セオドア・ミロンの学説から、目立ちたがりには「演技性」「自己愛性」の2つの類型があると説明がある。病的と正常には厳密な一線は引けないという前提で、
・演技性パーソナリティ
「飲み会の際に誰よりもノリよく、はしゃいで盛り上げ、座の中心になる」
・自己愛性パーソナリティ
「ブランド品で寸分もなく身を固め、つんとすまして歩いて、道行く人を振り返らせる」
とタイプわけしている。
演技性パーソナリティは心理学では「ヒストリオニクス」と呼ばれるそうだ。大げさな、芝居がかった表現を好む。よくいえば社交的でオープンマインドで精力的にみえる。米国では理想的なパーソナリティとして受け入れられる。一方で刺激好きで一貫性がないのも特徴となる。「他人に気に入られたいという行動原理だけで、自分の中に一貫した価値基準がない」ためだ。「いろいろな人がかまいすぎ」な環境で育てられると、このタイプになりやすいらしい。杉村太蔵議員がこれに近いという。簡単にいうと、自信がないヘタレなのでもある。
自己愛パーソナリティとはつまりナルシストである。「なりたい私になっている」空想に夢中な人たち、である。理想化されたイメージへののめりこみに基づいて行動しており、感情に基づいて行動していないのが特徴。ブランド物買いなど誇示的消費で、自己の優越を誇示しようとする。自身の行動を過大に評価させる自己アピールが多い。田中康夫知事がこれに近いという。自信過剰のハッタリが本質である。
この本は事件発覚前の出版だが、ホリエモンについて著者は、彼はナルシストではなく、「反社会性パーソナリティ」だと指摘している。空想で満足できる性格ではなく、欲しい物には現実に手を伸ばす「欲」の人だという。当たっていたかもしれない。
本来の日本社会の心性は、依存性、強迫性、自虐性で目立たないことが良しとされた。人知れぬ善行こそ美徳であり、外の秩序に溶け込んで調和することが成熟したもののあるべき姿であり、自らを楽しませたり輝かせることは好ましいことではなかった。だが時代は変わり、楽しむことが肯定的な社会になった。見ていて楽しい人物が人気が出るようになった。キャラ立ちは価値になった。
そしてヒストリオニクス、ナルシストという2つのタイプの目立ちたがり屋有名人が注目と人気を集めている。最近ではただ目立つだけではだめで、作為性のない目立ち、すなわち「天然」が最強のキャラになりつつあると著者は分析している。そして他人を楽しませなければならないと常に考えているヒストリオニクスであればなおさら強い。天然ヒストリオニクス、その代表例として小泉首相の名前が挙げられている。
目立ちたがる人々はインターネットですぐみつかる。ブロガーだ。昨年の総務省の調査によると、週に1度以上更新するアクティブなブロガーが100万人規模でいるようである。ブログ界ではまだ普通のヒストリオニクス優勢に見えるのだが、この目立ちたがり競争の中でも、最後に勝つのはやはり天然なのだろうか。
ところで、コンテストの告知をお手伝いしたアルファブロガー企画が結果を発表している。新たな10人の目立ちたがり屋さんが投票で選出された。真性引き篭もりさん見事受賞!(私の昨年度ベスト1ブログとして紹介したのだが、これは本人喜ぶのだろうか?)
・アルファブロガーをもっと探せ 2005 結果発表
http://alphabloggers.com/
次は天然ブロガーを探せ、かも?。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: とにかく目立ちたがる人たち
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/1918