人に言えない仕事はなぜ儲かるのか?
裏稼業の暴露本のようなタイトルだが、内容は税制、税金対策についての本である。つまり、税金を払わない、ごまかせる、水面下のビジネスはとにかく儲かるという話につながる。
一般にはあまり知られていない商売の裏側もでてくる。
「
なぜソープランドの経営は違法なのに堂々と営業できるのだろうか?じつはソープランド業界には、売春防止法をクリアするための巧妙な建前がある。
その建前とは、自分たちが営業しているのは、高級感あふれる「お風呂屋さん」で、店にくるお客さんは入浴料を払って、ゴージャスな入浴を楽しんでいるだけという理屈だ。
個室のなかで、何かいかがわしい行為があっても、それは自分たちの知らないお姉さんがお店の中に勝手に入ってきて、お客さんと自由恋愛をしているのであって、自分たちの営業とはなんら関わりがない。
」
ソープランドは自由恋愛の場であると言う建前を知って衝撃である。
風俗にせよ、違法ドラッグにせよ、ニセモノ販売にせよ、多くのアンダーグラウンドビジネスは、禁止する法律があるから市場が形成されているのだと著者は指摘している。麻薬が合法化されているオランダでは、日本では闇市場で価格が高騰している薬が、お小遣い程度の価格で買えるそうだ。禁止する法がなければ需要と供給の市場メカニズムに従って生産と流通が増え、価格は安くなる。禁止が背後で誰かを儲けさせている。
裏稼業の中で、私が気になっていると同時に迷惑を蒙っているのは、毎日何百通も受けとるスパムメールのビジネスである。この内情については、オライリーがドキュメンタリ本を出している。
メールは送るのはタダなので、1万通に1通、10万通に1通でも反応があれば、広告ビジネスとして成り立ってしまう、と言われていた。だが、スパム業者の数も増えてきた。そろそろ反応率も100万分の1だとかになってしまうのではないか。スパム業者も採算割れを起こしてはいないだろうか。これに対して、カタギには、アンチスパムソフトの市場があってスパム増大に伴い、大きくなっている。
すると、ふとこんなことを考える。
スパム業者とアンチスパム業者、どちらが儲かっているのだろうか?
もしかして既に、後者ではないか?
税金対策にせよ、裏稼業にせよ、対策ビジネスにせよ、立ち回り方の才覚一つで儲けが決まる。人に言えない仕事も、言える仕事も、儲けるには創意工夫なんだよという妙な教訓を得た一冊であった。
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