勝つためのインターネットPR術
インターネットPRの入門書。
第1部はライブドア社長の堀江貴文氏によるインターネットPRの思想編。
第2部はニューズ・ツー・ユー社長の神原弥奈子氏によるインターネットPRの実践編。
第1部の要点は経営者自らが会社のPRマンになり、PR対象として「インベスタマー=投資家+消費者を想定せよ」ということ。このインベスタマーとは堀江氏の造語で、投資家と消費者を合成した概念。特に一株あたりの価格が安く、大勢の個人株主に投資機会が開かれたライブドアでは、顧客の利益=株主の利益という構図が成立しているという。
インベスタマー的な考え方は、先日書評したバリュープロフィットチェーンの理論とも似ている。
・バリュー・プロフィット・チェーン―顧客・従業員満足を「利益」と連鎖させる
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003630.html
顧客、従業員、株主などステイクホルダーがひとつの価値を共有し、それを最大化するような組織を作れという内容だった。
ブログを続ける秘訣として堀江氏は、
1 毎日更新すること
2 日記のつもりで書く
3 自分をつくらず、淡々と書く
4 コメント欄の批判、悪口は格好のマーケティング材料と思って謙虚に読む
の4つを挙げている。
「インターネットは定食屋、テレビは高級フランス料理店」だとして、立派に着飾ったデザインのホームページよりも、毎日更新するブログの方が、企業広報にとっていかに価値が高いかを力説している。
第2部では、この「消費者と投資家を同一視せよ」思想を受けて、IRとPRはシームレスである、として社長ブログが推奨される。
とても面白いと思ったのが、神原社長の会社が提供している社長ブログサービス。
・News2u.net 社長ブログ 企業の社長向けのブログサービス
http://blog.news2u.net/
社長が開設できるブログ。利用料金は3150円/月。アクセスがゼロの自社のサイトで始めるよりも、手軽にこのサービスを使ってブログを書くのも一定の集客効果がありそう。
ここで一覧できる社長のブログはどれも面白いと思う。内容がぼやきや愚痴であっても、何かをしようとしている、本気で考えている、必死な人たちであるからだろう。同業者の経営トップの日記ならなおさら興味が出てくる。
起業家100人のブログが読めるドリームゲートブログも素敵だ。
・起業家100人挑戦日記2005/独立・起業に関するブログならドリームゲートブログ
http://dblog.dreamgate.gr.jp/100entre.php
経営への効果はともかく、コンテンツとして社長ブログは人を惹きつける何かがある。
次は少子化で差別化が求められている教育業界の広報戦略として「校長ブログ」なんてどうだろうか。まだまだ少ないようだが、校長が教育を語るブログの効果は経営方針を語る社長以上に高い可能性があるのではないだろうか。
・校長日記
http://www.sugiyama-style.tv/
今Googleで「校長」を検索すると第1位に表示されるデジハリ杉山校長のブログ。
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ライブドアの堀江貴文社長と、ニューズ・ツー・ユーというインターネットPR会社の神原弥奈子社長の共著です。これまで企業のPRというとマスメディアを通じて行うものでしたが、ブログの登場で会社の経営者が発する情報が重要な時代になってきたことを予感させる一冊です。 続きを読む